徳島市川内町で農業を営む植田美恵子さん(66)が長年、ボランティアで地域の子どもたちに農業体験の場を提供している。なると金時の苗の植え付けや収穫を体験してもらい、収穫したサツマイモはプレゼントしている。手入れなども無償で引き受けており、地域に根差した食育活動として親しまれている。
サツマイモ農家の植田さんは、川内北小学校近くに所有する約10アールの畑を「ぽくぽく農園」と名付け、開放。同校をはじめ、川内保育所や学童保育クラブの大勢の子どもたちが農作業に取り組んでいる。
植田さんは、作業の何日も前から畝にビニールシートをかぶせたり、農機具を約2キロ離れた自宅から畑に移動させたりと、準備に追われる。肥料やりや草抜きなど、作物が育つ間の手入れも行っている。
12日には、川内北小の2年生95人が生活科の授業の一環で、なると金時の苗の植え付けに挑戦。子どもたちは植田さんの手ほどきで苗のツルを砂に埋め、砂の乾燥を防ぐための新聞紙と重しの砂を上に載せていった。秋に収穫し、給食の食材などに使う予定だ。
植田さんが畑の開放を始めたのは十数年前。子育てサークルの親子にイモ掘りを体験させてあげたところ、喜ばれたのがきっかけだ。2007年からは地元の川内北小の依頼で、学童保育などの作業も随時、受け入れている。
作業を体験した子どもからはたくさんの礼状が届き、「お芋が大好きになりました」「自分で植えられたのがうれしかったです」といった言葉がつづられている。植田さんは「農作業を通して、野菜はすぐ収穫できるものでないことを分かってもらえたら」と話している。