徳島市が市文化センターの廃館を市議会で表明した15日、市民や文化関係者からは残念がる声が上がった。同市新町西地区で計画されている音楽芸術ホールの完成まで3年以上かかることから「文化活動の停滞につながる」と懸念する意見も相次いだ。
「徳島の文化のメッカといえる施設。代わりの施設がないのに廃止するのは残念だ」。文化センターでの音楽演奏会などに何度も足を運んだという小川雅功さん(52)=同市庄町1、小学校教諭=は廃館を惜しむ。
文化センターは、音楽活動に励む生徒たちにとって大舞台だった。3月にオーケストラ部の定期演奏会で舞台に立った城東高校3年越野瑞貴君(17)は廃館表明に驚いた様子で「大勢の観客の前で緊張しながら、力いっぱい演奏したのを思い出す。ただただ寂しい」。
市の計画では、新ホールの完成は2018年度末。脚本・演出家の内藤順子さん(55)=同市明神町3=は「県庁所在地に市の音楽芸術ホールが何年もないのは問題だ。大学や企業のホールを市民が利用できるよう、市が働き掛けてはどうか」と提案する。
文化センターで長年定期演奏会を開いてきた徳島少年少女合唱団代表の上田収穂さん(85)=石井町高原=も「市周辺を含め、発表や練習ができる施設を市が探すべきだ」と訴えた。
廃館に反対する市民団体「市文化センターの存続を求める会」準備会の平岡保人事務局長は市役所で記者会見し、「ホールがない間の文化活動への支援策も示されず、黙って(新町西地区の新ホール開館を)待っていろということなのか」と批判した。準備会は20日に設立総会を開き、署名集めなどを始める方針だ。