球形のガラスの中に宇宙空間のような幻想的な世界を閉じ込めた作品をご存じだろうか。その手作り体験ができると聞き、徳島新聞メディア編集部は阿波市土成町にあるガラス工房「アトリエ フムフム」へと車を走らせた。

自分だけの宇宙をガラスに描く手作り体験ができる「アトリエ フムフム」

 出迎えてくれたのは、工房代表の大坂敏啓さん(61)。このガラス球の正体は、試験管やフラスコなど理科の実験でも使用される耐熱ガラス「ボロシリケイトガラス」。酸素バーナーで溶かしながらねじったり、気泡を入れたりしていくとガラスの中に宇宙のような模様を描けるのだという。

純銀を定着させる様子

 炎の中の様子を見えやすくするため、サングラスのような専用の眼鏡を装着してから作業を開始。バーナーに着火した後、純銀を含んだガラス棒を手前側の炎に、本体のガラス棒を奥側で加熱する。熱せられて赤くなった手前のガラス棒から純銀が気化し、本体のガラス棒に徐々に定着し始める。「炎の中に純銀が飛び、自然とガラス棒に付着するのがすごい…」

ガラスの層ができた
ガラス棒をねじりながららせんを作っていく

 純銀が定着したら、別の透明なガラス棒をバーナーで熱し、本体にガラスを塗り重ねる。本体にある程度の厚みが出てきたら、本体と別のガラス棒を水平に溶着させ、左右にゆっくりと揺らしながらガラス棒をねじる。このねじる作業が宇宙空間のらせん模様になるので、かなり重要だ。ガラス棒を押したり引っ張ったりせず、一定の速度を保って回していくのがポイントだという。

球体にしたガラス玉。熱いうちは真っ赤

 本体のガラスにらせん模様を描けたら、一度炎から出して冷やす。本体に星くずが見えるよう気泡入りのガラスを塗り重ねるなどした後、熱で溶かして球体にする。徐々に球体になっていくガラスは赤く燃えており、まるで太陽のように光を放っていた。

完成したガラス玉

 初めて制作したが、ねじるときの力加減が特に難しかった。完成した作品はらせん模様をうまく描くことはできなかったが、三角や丸などさまざまな模様ができたので満足の出来栄えだ。

 今回教えてくれた大坂さんが、この作品作りに熱中し始めたのは2017年。最初は初心者でも簡単にできるトンボ玉から始めたが、よりリアルな宇宙を表現するため、定年を機に20年からボロシリケイトガラスの設備を整え、本格的に制作を始めた。

 大坂さんは「完成したときの美しさが魅力。作り手によって同じ物が一つとしてできないのがおもしろい」と笑顔を見せる。大坂さんはこのほか、ガラスペンやガラス玉の中に花を咲かせたアート作品などの制作にも取り組んでいる。

玩具販売機でゲットしたガラス玉をお土産にするのもお薦め

 制作体験料は(税込み5千円~)で、料金内で練習もできる。時間は2~3時間。本番ではオパール入りのガラスなどを使う。工房の入り口には大坂さんの試作品や体験のデモで作成したガラス玉を玩具販売機(通称・ガチャガチャ)で販売しており、お土産に最適だ。

 体験には事前予約が必要。予約は工房の公式HPから。体験時の誓約書に「徳島新聞を見た」と記載すると、革ひもと木製ビーズの特典を付けてくれる。

作業場の様子

店舗データ
・住所=阿波市土成町宮川内藤原9ー2
・営業時間=午前9時~正午、午後1時~午後4時
・定休日=月、木曜
・駐車場=あり