インターネットを使ってタクシーの配車業務を行う電脳交通(徳島市)が18日、タクシー大手・日本交通(東京)グループのIT会社など2社と、それぞれ資本業務提携を結んだと発表した。電脳交通は両社の出資を元手に、タクシー車内での広告配信などの新規ビジネスに乗り出す。
提携したのは、日本交通子会社で、タクシーを予約できる配車アプリなどの開発を手掛ける「ジャパンタクシー」(東京)と、データセンターの運用やクラウドサービスの提供などを行う「ブロードバンドタワー(BBT)」(同)。いずれも出資額や出資比率は公表していない。
ジャパンタクシーとの提携では、同社が開発した広告配信用のタブレット端末を活用する。タクシー内に端末を設置し、客が乗ると契約した企業の広告動画や静止画をインターネットで配信して流す仕組みで、広告収入が得られる。
18日から吉野川タクシー(徳島市)の車両3台で、約2週間の実証試験を始めた。乗客の反応や有効性、通信環境などを確認し、本格運用を目指す。
都市部では、タクシーでの広告タブレットや配車アプリの利用が広がっている。日本交通は、徳島、香川、愛媛、埼玉、岡山、福岡の6県・計15社の配車を請け負う電脳交通と提携することで、自社のサービスを地方に広げる狙いがある。
電脳交通は、広告タブレットとともに、ジャパンタクシーのタクシー配車アプリを取引先のタクシー会社に提案し、普及を図る。
一方、BBTとは顧客情報や配車データのビッグデータ解析、コールセンターでの配車業務への人工知能(AI)活用、サイバー攻撃対策などで協業する。
近藤洋祐社長は「今回の提携により、資金と大手のノウハウを得られる。タクシー業界をはじめ、自動車産業は大転換期を迎えており、スピード感を持って事業規模の拡大につなげたい」と意欲を語った。