那賀町木頭和無田(わむだ)の町指定天然記念物「和無田八幡神社の門杉(もんすぎ)」の樹勢の衰えが目立っている。鳥居付近の左右に2本ずつ生える4本の杉の巨木は、樹皮の剥落が著しく、樹冠部分の葉もまばらな状態。木頭杉の産地のシンボルとして長年親しまれてきた門杉の危機的状況に、住民らは心を痛めている。
門杉は、高さが40メートル前後で、幹回りの最も太い部分は9・4メートル。樹齢は800年とみられ、旧木頭村が1981年に天然記念物に指定した。
元木頭村長で同神社の氏子総代の伊藤英志さん(72)=木頭出原=は「昔はもっと葉が生い茂り、小学校の愛唱歌にも歌い継がれてきた。盛り上がった太い根のトンネルをくぐってよく遊んだ」と懐かしむ。
前氏子総代の中平徹さん(78)=木頭和無田=によると、門杉が衰え始めたのは約20年前。それまで水田に囲まれた神社の周囲の道がアスファルトで舗装され、境内にゲートボール場が整備されたころから急激に弱り始めたという。
旧木頭村教委の依頼を受け、1993年に門杉の診断に当たった県樹木医会の横山利治さん(79)は、水はけが悪化したことが原因と指摘し、定期的な土壌改良などを指示した。
しかし、その後も樹勢の衰えは止まらず、2008年の再診断では打音検査の結果、幹周りの樹皮の70%に異常音がみられ、内部腐朽の進行が確認された。
町教委は土壌改良などの費用の約半額を助成しているものの、旧木頭村時代も含め数回しか実施されておらず、10年度以降はできていない。
横山さんは「衰弱の進行を抑え延命させることは可能」と話すが、中平さんは「助成はあっても、氏子の数も減り高齢化が進む現状では保全に限界がある。林業の町として、木頭杉のシンボルを守るため、行政の積極的な支援をお願いしたい」と訴えている。
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