サポーターらの前で披露された勝利の舞、阿波踊り=11月27日、ターンテーブル

 サッカーJ1の徳島ヴォルティスは4日午後2時から、鳴門ポカリスエットスタジアムで今季最終節の広島戦に臨む。J1残留が懸かった試合だけに、サポーターらの期待も一段と高まる。東京・渋谷にある徳島県の情報発信・交流拠点施設「ターンテーブル」では毎試合、パブリックビューイング(PV)を開催。ヴォルティスが勝利すると、会場で客や社員が一緒になって阿波踊りを踊っており、サポーターらの間で話題になっているという。4日の大舞台を前に、店長や常連客らは残留祝いを兼ねた“勝利の舞”を踊りたいと願っている。

 

PV開催日に飾られた徳島ヴォルティスの旗


 2018年にオープンしたターンテーブル。宿泊施設やマルシェなどを兼ね備えており、施設内の飲食店では徳島県産の食材を使った料理を提供している。
 レストランマネージャーの中野孟志店長(40)によると、昨シーズン終盤から飲食店内でPVを開始。当初は徳島のホーム戦のみPVを行う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大で県をまたいだ移動が厳しくなったため、緊急事態宣言の期間中などを除き、毎試合でPVを実施してきた。「ターンテーブルは徳島のアンテナショップなので、試合を見に行けなくても、こちらから頑張っている選手らを応援したい」と中野店長。店で働く社員や試合を見に来た客も同じ気持ちだったのだろう、勝利の舞と呼ばれる阿波踊りは自然発生したという。

 


 最初に阿波踊りを踊ろうと呼び掛けたのは、小林宏和さん(45)=公務員、小松島市出身=。徳島では昔から宴会や結婚式など祝いの席で阿波踊りを踊る文化があることから、踊りで勝利を祝いたいと社員に声を掛けたという。チームにはこれまで、試合中にゴールを決めると阿波踊りを踊る選手もいた。「選手が踊るならサポーターも踊らないと」。

うちわを手に阿波踊りを踊る小林さん=4月4日、ターンテーブル

 

 4月4日のアウェー清水戦で小林さんが初めて踊り、7日のホーム仙台戦以降は社員や他の客も一緒になって踊るように。恥ずかしがっていた社員も今では率先して踊り出す。ターンテーブルのツイッターアカウントでは「お客さんと一緒に踊る勝利の舞、最高です」などの言葉を添えて踊りの動画を投稿。「参加したい」「次節も踊れますように」などと好反応で、サポーターらに徐々に浸透している。

阿波踊りを披露する小林さん(左端)ら=11月27日、ターンテーブル

 

 小林さんと一緒に勝利の舞を踊る寺口奈緒美さん(31)=美波町出身=は、昨春ターンテーブルで働き始めた当初、ヴォルティスに「全然興味がなかった」というが、試合を見るうちに次第に応援する気持ちが強くなっていった。「細かいルールは分からないけど、応援するのは楽しい。点が入るたびに店は拍手喝采で、自分もお客さんと一緒に喜んでいる。ここまできたら、勝って残留してほしい」と期待する。

 どうしてもチームを応援したいと会場に足を運ぶ人も多い。負けた時は意気消沈した雰囲気が漂うものの、毎試合の会場の盛り上がりを見て、中野店長は「一戦一戦が勝負なのでみんな励まし合い、前向きに捉えている。愛されているチームだなと感じた」という。「選手たちといつか交流できたらうれしい。これからもPVで応援を続けていきたい」

 コロナ下で飲み会もなくなり、人の集まる機会がめっきり減る中、サッカーを通じて交流が広がった。小林さんは「徳島の人らと応援し、踊ることでみんなで勝利の余韻を共有できることがうれしい。試合観戦がコロナ下での楽しみになった。ヴォルティスに感謝している」と顔をほころばせる。「ここは東京のサポーターが集まる拠点、もう一つの”ホーム”。ヴォルティスの選手や監督と東京のサポーターがここで阿波踊りをするのが夢」とヴォルティス愛にあふれる小林さん。「ヴォルティスがJ1に所属することは徳島の誇り。阿波踊りだけじゃないよと言える。勝利と残留のお祝い、両方の舞を踊りたい」。
 


最終節・広島戦の応援を呼び掛けるターンテーブルのツイッターアカウント