これでは何のために記者会見を開いたのか分からない。 むしろ、会見したという形をつくるのが目的だったのではないか。そう見られても仕方があるまい。

 学校法人「加計学園」の加計孝太郎理事長が、岡山市で記者会見した。愛媛県今治市への獣医学部新設を巡って、県の文書に記載された2015年2月の安倍晋三首相との面会に関して「記憶にも記録にもない」と否定した。

 加計氏は、学園側が県に誤った情報を伝えたとして「不適切な言動で多大な迷惑、心配を掛けた」と陳謝した。

 一連の問題が発覚した後、加計氏が会見や取材に応じたのは初めてだが、あまりにも対応が遅すぎる。

 国家戦略特区を利用した獣医学部新設問題は、国民の重大な関心事である。「加計ありき」で進められたのではないかとの疑惑は払拭できていない。加計氏を「腹心の友」と言う安倍首相が、国の選定プロセスに及ぼした影響の有無が問われているのだ。

 加計氏は首相について「何十年来の友達だが、仕事のことを話すのはやめようというスタンスで会っている。こちらのことは興味ないと思う」と述べた。

 この説明にどれほどの国民が説得力を感じたか、疑問である。

 愛媛県の文書は、首相が加計氏と面会し、学部新設に関して説明を受けたとする学園側の報告に基づいている。

 文書の存在が明らかになった後、首相も加計学園も、面会の事実を否定した。渡辺良人学園事務局長が愛媛県庁を訪問し、文書の記載内容に関して「学部を何とか形にしたくて、私が(面会したと)言ったのだと思う。その時、ふと思ったことを言った。(面会は)なかった」と語った。

 しかし、渡辺氏の説明によって、首相と加計氏の面会が虚偽だったと証明されたわけではない。

 加計氏は会見で「担当者が事を前に進めるために申し上げたと報告を受けた」と語った。獣医学部新設を巡って、首相とは「連絡していない」とも述べた。

 加計氏の会見は、愛媛県の中村時広知事や報道各社が求めていた。

 だが、首相や渡辺氏の主張を追認するような内容にとどまり、説明不足だったのは明らかである。そればかりか、会見は30分の予定だったのに、職員が「校務」を理由に5分ほど早く終わらせた。

 その発言内容や会見の在り方からは、国民に対して真摯に説明責任を果たすという姿勢が見えなかった。

 加計氏は自身の給与の一部自主返納や渡辺氏の給与減給の処分結果を発表したが、問題を幕引きにはできない。

 国会招致について加計氏は「私が決めることではない」と述べた。それならば国会が決めればよい。野党は、加計氏の証人喚問を要求していく構えだ。与党は受け入れるべきである。