プラスチックによる海洋汚染が問題になっている。

 先の先進7カ国首脳会議(G7サミット)でも、海のプラスチックごみ削減の数値目標を盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」を採択するなど、国際的に関心が高い。

 ところが、日本は米国とともに署名を拒否した。「産業界や消費者に影響が大きく、準備が整っていない」との理由からだが、あまりに消極的ではないか。

 日本は海からの恩恵を享受している。それだけに、汚染の現実を直視し、率先して対応する責務がある。

 国連の推計では、プラスチックごみの廃棄量は年3億トンに上る。海への流出は途上国を中心に年800万~1200万トンとされ、2050年には海にいる魚の量より多くなるとの試算もあるほどだ。

 ウミガメや海鳥などが餌と間違ってのみ込んだり、ごみに絡まって窒息死したりすることで、生態系への悪影響が懸念されている。

 日本近海でもプラスチックごみが多く見つかっており、魚の体内からも検出されている。憂慮すべき状況だ。

 サミットでは、産業界と連携し30年までにプラスチック製品の再利用・リサイクル・回収100%を目指し、使い捨てを大幅に減らすとした。

 国際社会による対策が進んでいる。日本も強い危機感を持ち、問題解決に当たってもらいたい。

 直径5ミリ以下の「マイクロプラスチック」の汚染も深刻さを増している。

 海に流れ込んだプラスチック製品が壊れて細かくなったものが多く、洗顔料などに使われるマイクロビーズや、化学繊維のくずもある。

 東京農工大の最近の調査で東京湾や沖縄県の海岸の二枚貝の中に、マイクロプラスチックが大量に蓄積されていることが確認された。

 貝類の汚染は世界の広範囲に及んでいる恐れが強いとして、国際的に貝の生息や生態系への影響を詳しく調べることが必要という。

 先日、議員立法によるマイクロプラスチック削減に向けた改正海岸漂着物処理推進法が成立した。

 事業者に排出抑制の努力義務を課すほか、洗顔料や歯磨き粉などのメーカーに対し、マイクロプラスチックの使用自粛を要請するのが柱だ。

 環境省によると、マイクロプラスチック対策が法律に盛り込まれるのは初めてで、政府も今後、対策を本格化させる考えのようだ。

 具体的に動き出したのは一歩前進だが、まだ十分とは言えない。

 既に多くの国が、レジ袋や食品包装など使い捨てプラスチックの削減や廃絶に向けた取り組みを始めている。日本は遅れ気味だ。早急に削減対策を進めてほしい。

 私たち消費者の努力も求められる。マイバッグやマイボトルの利用を広げるなど、使い捨てのライフスタイルを改めていきたい。