昨年12月に死んでいた出羽島のオオウナギ(2008年、田中幸寿さん撮影)

 牟岐町天然記念物の出羽島のオオウナギ2匹のうち、1匹が昨年12月に死んでいたことが分かった。2008年に生息を確認して以降、観光客らに親しまれる存在だった。

 ウナギは体長約1・2メートル。出羽島漁港近くの小さな谷の水たまりにすんでいた。昨年12月に、出羽島地区長の田中幸寿さん(74)が谷の近くで見つけたときは既に死んでいた。カニやミミズなどを与えていた田中さんは、やせ細ったウナギを浜に埋葬したという。

 オオウナギは熱帯や亜熱帯の海域に多く生息し、県南部には黒潮に乗って運ばれる。すみ着いた場所で一生を過ごす習性から、08年に「出羽島のカニクイ」の名称で町天然記念物に指定された。12年に、町教委がウナギの特徴や発見の経緯などを説明する案内板を設置。島内名所の一つとなっていた。

 同じ谷には、約2年前に田中さんが発見した別のウナギ(体長約70センチ)が生息する。日中は石垣の間などに潜んでおり、夜になると餌を求めて水たまりを泳ぐ姿が見られる。

 田中さんは「かわいがっていたウナギが死んだのは残念。もう一匹を見守りたい」と話している。