新聞記事を切り抜き、見出しや感想を添えたオリジナル紙面の出来栄えを競う「第9回徳島新聞切り抜き作品コンクール」には、県内の55小中学校から902点の応募があった。部門別の応募数は小学校低・中学年(1~4年)293点、高学年(5、6年)184点、中学生208点、特別部門スポーツ217点。東京オリンピック・パラリンピックや新型コロナウイルス感染症など、さまざまなテーマに沿って記事を見やすいように張り付けた力作が目立った。各部門の最優秀作品を紹介する。

小学校低・中学年部門

スーパームーン皆既月食 岸柚希さん・徳島文理小3年

ドラマのような構成 

 「見上げてごらん夜の月を」。数多くのミュージシャンによってカバーされ、コマーシャルでもよく耳にした往年の名曲をもじった見出しが、審査員を魅了しました。3年ぶりとなる2021年5月26日の皆既月食は、月が地球に近づいて大きく見える「スーパームーン」と重なる珍しい天体ショーとあって、期待が高まっていました。岸柚希さんは、5月11日、18日、そして皆既月食翌日の27日の記事を取り上げることで、わくわくする気持ちと当日の結果をドラマのように表現しました。

 「今月26日夜 3年ぶり皆既月食南東の空満月は今年最大」という記事には「学ぶ」、「皆既月食を楽しもう 阿南で26日特別観望会」という記事には「観望会」、「梅雨の夜空赤銅の月 スーパームーン同時の皆既月食 県内曇天観測できず」という記事には「残念」という見出しを付け、内容の要点を自分の言葉でまとめ直しています。漢字には丁寧にルビがふられていて、記事の内容をしっかり読み取っていることがうかがえます。話題ごとのイメージに合わせた青、オレンジ、水色の台紙を挟む手法は、ダブル受賞となったスポーツ部門の作品と共通する手法です。(徳島新聞NIEコーディネーター・野口幸司)

小学校高学年部門

ゲーム障害!気をつけろ!! 和泉勇汰さん・山瀬小5年

心の声をタイトルに 

 新聞は出来事を伝えるとともに、現代社会の課題について、記者が丁寧な取材を行い、解決に向けた取り組みも紹介されています。この作品は社会問題になっている、ゲーム依存について、私たちに警告として発信してくれています。

 世界保健機関(WHO)は、オンラインゲームなどのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を、依存症として新たな病気に認定しました。

 ゲーム依存を可視化した記事は、使い過ぎていることを実感させるものです。すでに健康を害するなど体への悪影響もでており、ゲーム障害に陥らないためにも、時間や場所などのルールを決めて上手に付き合うことが求められています。

 タイトル『ゲーム障害!気をつけろ!!』。作品を作成する過程で「このままではいけない。本当に危険だ。」と湧き上がってきた心の声のように感じました。タイトルに込められた思いをしっかりと受け止め、友達と遊ぶ時間や読書の時間を大切にしようという提案を自分の生活に当てはめて私たちは行動していきましょう。(日本新聞協会NIEアドバイザー・岡田志麻)

中学生部門

コロナとオリンピックを考える 槙野心美さん・城ノ内中等教育1年

社会の課題「自分事」に

 コロナ禍での五輪開催は、感染再拡大の中、今夏の大きな関心事でした。槙野さんは新聞報道がどのようにされていたかを示す、開催前の意見、開会式翌日の記事などから、「コロナとオリンピック」を考えています。

さらに、東京五輪前・中・後の全国の感染状況、陽性者数推移の変化を表したグラフなどの記事も取り上げ、それらの資料を比較し、根拠をもとに考えを巡らせ、自分の意見を述べていることで説得力が増します。

 第5波は、オリンピックだけでなく個人の気の緩みが関係しているのではないかという意見に達します。「密を避ける」「マスクの着用」など、一人一人の感染対策の大切さを改めて示してくれています。

 感染防止は大きな課題ですが、作品作りは、社会の課題は誰かが解決してくれるのではなく、「自分事」として捉えることにつながっています。情報化社会、大量の情報の中から目的に合った情報を見つけ、判断し、自分の考えを持ち、発信することができた作品だと思います。(日本新聞協会NIEアドバイザー・岡田志麻)

スポーツ部門

徳島での東京五輪事前キャンプ 岸柚希さん・徳島文理小3年

徳島とのつながりに視点

 オリンピック・パラリンピックが開催された今年、特設部門のテーマは「スポーツ」です。

 オリンピックとパラリンピックはもちろんのこと、米大リーグ・大谷翔平選手の活躍を取り上げた作品が並びました。岸柚希さんも東京五輪を取り上げましたが、金メダリストではなく、徳島県内で事前キャンプを行ったチームに視点を当てた独自性が高く評価されました。

 徳島市で競泳合宿を行ったネパール選手団は公開練習と壮行会、鳴門市でキャンプを行ったハンドボール男子のドイツ選手団は公開練習と壮行会、那賀町でキャンプしたカヌーのドイツ代表チームは練習開始、記念植樹、銅メダル獲得の記事を切り抜きました。切り抜いた一つ一つの大事な所にマーカーで線が引かれ、丁寧に読んだことがうかがえました。

 岸さんが切り抜いたのは、本文が30~50行の比較的小さな記事ばかりです。しかし、その小ささを逆手に取り、七つの記事を台紙の枠内にぴったりと収めました。独カヌーチームの記事は国旗の色が映えるオレンジの台紙、独ハンドポールチームはユニホームの色に合わせた赤の台紙、ネパール水泳チームの記事はブルーの台紙を専用台紙との間に挟んでいるのも心憎い工夫です。(徳島新聞NIEコーディネーター・野口幸司)

最優秀賞以外の皆さん(敬称略) 

 ■小学校低・中学年部門【優秀】八幡葵子(加茂名南小4年)豊崎光葵(高原小4年)【優良賞】藤森あかり(江原南小1年)東出友里(江原南小2年)秋山結海(桑島小4年)

 ■小学校高学年部門【優秀】寺島いろは(桑島小5年)八幡優志(鳴門教育大付属小6年)【優良賞】小原彩友美(市場小5年)竹内栞那(穴吹小6年)渡邉愛爽(西麻植小6年)

 ■中学生部門【優秀賞】上藤幸歩(城ノ内中等教育2年)北原千恵子(八万中2年)【優良賞】阪井ひなた(富岡東中1年)豊田菫(八万中2年)湯浅聡一郎(鳴門教育大付属中3年)

 ■特別部門スポーツ【優秀】多田桜花(岩脇小6年)平岡由衣(高浦中1年)【優良賞】釡内莉緒(北島北小5年)八幡優志(鳴門教育大付属小6年)湯浅聡一郎(鳴門教育大付属中3年)

 ■学校賞 穴吹小(美馬市)岩脇小(阿南市)高原小(名西郡)西麻植小(吉野川市)八万中(徳島市)