徳島県の美馬持仁教育長は21日、県内の公立高校普通科に設けられている学区制の在り方を見直すため、近く有識者会議を設置する方針を明らかにした。本年度中に意見を取りまとめ、現在の中学2年生が受験する2020年度入試から新制度の導入を目指す。県議会6月定例会で嘉見博之(自民)、黒﨑章(新風とくしま)両氏の代表質問に答えた。
有識者会議では▽三つに分かれている学区の見直し▽学区を越えた入学者数の割合(流入率)の変更▽新たに県内全域から募集する学校・学科の設定―などを検討する。委員構成や発足時期は未定だが、学識経験者や学校関係者らで構成し、「なるべく早く開く」(県教委教育創生課)としている。
現行の学区制について、美馬教育長は「地元高校の育成、不本意な遠距離通学の抑制などで一定の役割を果たしてきた一方、生徒同士が切磋琢磨(せっさたくま)する機会が十分に保証されてないといった課題がある」と答弁。全県から生徒を募集している併設型中高一貫校の城ノ内中学・高校(徳島市)が中等教育学校に移行するのに伴い、21年度から高校の募集を停止する影響も考慮したと説明した。
公立高校普通科は徳島市、県西北部、県南部の3学区に分かれ、学区外からの流入率は定員の8~10%に制限されている。徳島市の高校への進学希望者が多い鳴門、板野、石井の3市町は3月、学区制廃止を含めた見直しを求める要望書を県などに提出。一方、徳島市は6月、見直しに慎重な対応を求めて要望書を提出した。
県内で3学区制が導入されたのは1972年度。県教委はこれまで流入率変更などの見直しを図ってきたほか、2004年度には第3学区(徳島市)の総合選抜制度を廃止し、生徒募集を学区全体から高校ごとに切り替えた。
美馬教育長は取材に対し「徳島の教育がどうあるべきか、さまざまな意見を聞きながらスピード感をもって対応したい」と話した。
<県内公立高校普通科の学区制> 地域の高校育成や学校間競争の是正、受験競争の緩和などを目的に1972年度に導入された。学区を県南部の第1、県西北部の第2、徳島市の第3と区分。学区外からの入学者の割合(流入率)を、第1学区が定員の10%、第2学区は8%、第3学区は学校ごとに8%以内に制限している。佐那河内村と神山、松茂、北島、藍住各町は第3学区の高校にも制限なく通える特例が設けられている。併設型中高一貫校の城ノ内、富岡東、川島の3高校の通学区域は県内全域。