「男性が立って小便をする習慣は改善できないものか」-。長岡市の60代女性から、新潟日報社の「もっとあなたに特別報道班(モア特)」にこんな声が届いた。トイレを掃除する身にとっては、「尿はね」による汚れは少ない方がいいに決まっている。それには当然、座って小便をしてもらいたいのが本音。男性のトイレ事情はどうなのか。あなたは立って派?、座って派?。(新潟日報)
女性によると、自宅の洋式トイレでは、立って用を足す高齢の父と夫が「繰り返し汚してしまう」という。一方、30代の息子は便座に座る習慣が身に付いており、同じ家庭でも世代間で使い方に差があるようだ。
そこでトイレ用洗剤の製造販売などを手掛ける「ライオン」がことし6月、20~60代男性1500人に実施したインターネット調査を調べてみた。
立つ派39・1% 座る派60・9%
洋式トイレに立って小便をすると答えた人は39・1%。一方、座って小便をする人は60・9%と半数を超えた。また、座る人の49%は立って用を足すスタイルから座るスタイルに途中で変更した人ということも分かった。
小用スタイルを変更した主な理由は「尿はねで便器などが汚れるのを体験したから」「トイレを掃除する人の気持ちを考えるようになったから」などが多く、「身近な人から座ってするように促されたから」という回答も目立ったという。
こうした結果を受け、モア特が読者を対象に意見を募ったところ、約60人から回答が寄せられた。
汚れ避ける意識徐々に拡大
20年以上前、自宅トイレを洋式に変えたのを機に座るスタイルにしたという見附市の40代男性は「家族と相談して座るようになった。トイレを汚すことはなくなり、掃除も楽になった」と話す。
また、ライオンの調査では、年齢別の傾向も浮かび上がってきた。座って用を足す人のうち、子どもの頃から座る習慣があるのは20代で25・7%、30代で17・7%だったのに対し、40~60代ではいずれも10%未満だった。
同社の担当者は「若年層は子どもの頃からのしつけなどでトイレを汚してはいけないという意識があるが、中高年層は後から座る習慣を身に付けている傾向にある」と分析する。
こうした背景には、かつては男性用の小便器も一般的だった、住宅のトイレ環境の変化も影響している。住宅設備機器メーカーのTOTO広報部によると、「近年、住宅では洋式トイレの設置依頼が9割と圧倒的になっている」という。
高齢者層「座るなんて情けない」「年とると座る方が楽」
一方、小便器慣れした高齢者層には依然、座って用を足すことに抵抗感がある人も多い。佐渡市の70代男性は「男子たるもの、座って小便とは情けない」と座るスタイルには反対。南魚沼市の70代男性は「妻に促されたので息子の家では座るが、外では解放感があり、できれば立ってしたい」と打ち明けた。
ライオンは、調査の中で立って用を足す男性に対し、「今後座りスタイルに変える予定はあるか?」という質問も投げ掛けている。その結果「変えてもいい」とした人は56・8%と半数以上となっている。
長岡市の70代男性は「年をとってきた今は座る方が楽なのでこのスタイルがますますよく思えます」とも。高齢化も「座って派」の拡大を後押ししそうだ。
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