吉野川市山川町久宗の醫光(いこう)寺に4日、剣道場「寶壽(ほうじゅ)館」が開館した。住民に無料開放し、心技体を鍛錬してもらうとともに多目的に集える場所を目指す。日和田慈海(じかい)副住職(37)=市職員、剣道6段=が北辰一刀流の門下という縁から、同流派の四国唯一の指南所に認定されており、坂本龍馬ら幕末の志士が学んだ同流派の教えも伝えていく。
剣道場は木造平屋約41平方メートルで境内の中庭に設けた。床には銘木として知られる奈良県産の吉野杉を使用。弾力性があり、運動時の足腰への負担を和らげるという。壁には縦1・7メートル、幅2メートルの大鏡があり、型の確認ができる。既に社会人中心に10人ほどが道場に通う意向を示している。
剣道歴30年の日和田副住職は、子どもや住民らに剣道に親しんでもらう場を提供できないかと長年、道場づくりを模索。檀家(だんか)の了解を得て今年1月、念願の着工にこぎつけた。
床を造る際は、幕末の剣客千葉周作が開いた北辰一刀流の千葉家正伝第7代宗家で、道場建築を手掛けている椎名市衛(かずえ)さん(62)=茨城県龍ケ崎市=に依頼。合わせて北辰一刀流の門下となり、剣道場は同流派の四国本部道場に認定された。椎名さんが月1回程度足を運び、指導する。普段は慈海副住職や妻朗子(あきこ)さん(35)=剣道4段=が、子どもや住民と一緒に竹刀を振るう。
落成式には住民や県内の剣道愛好家ら約60人が出席。落慶法要では、剣道具に使われた動物を弔う「剣道具供養」も営んだ。慈海さんの父で館長の慈泉(じせん)住職(68)や県剣道連盟の三木毅会長らがあいさつ。居合や剣道の初稽古なども行って、道場開きを祝った。
慈海副住職は「この道場から剣道の裾野を広げ、地域住民の交流にも役立てたい」と話した。