1965(昭和40)年頃のピーク時には県内に25軒ほどの製造メーカーがあったという花嫁菓子。婚礼行事の際に配る徳島の風習はいつごろから続いているのか。徳島の伝統的な婚礼の習俗について詳しい徳島大総合科学部の髙橋晋一教授(民俗学)に聞いた。

 ―徳島の花嫁菓子はいつからあるのでしょうか?

 実ははっきり分かっていません。ただ、聞き取り調査によると、少なくとも戦前からあるということは確かなようです。

徳島の花嫁菓子

 ―花嫁菓子はどんなときに配られていましたか?

 花嫁が近所にあいさつをして回る「初歩き」や、嫁ぎ先に嫁入り道具を運び込む「道具入れ」の際に、集まった近所の人たちに配られていました。あいさつ代わりに、地域の絆をつなぐツールとして使われていたのではないでしょうか。現在は初歩きや道具入れの風習がなくなり、配る機会は結婚式の引き出物が中心になってきています。

 ―花嫁菓子を配る風習は県内全域にありますか?

 全県的にあります。基本的に配る菓子は「ふ焼き」と呼ばれる、もち米から作ったせんべいです。しかし、県西部では、香川県の伝統菓子で色鮮やかな丸い粒状の餅菓子「おいり」や、生産量の多かったたばこを配ることもあったようです。

花嫁菓子について話す髙橋晋一教授

 ―似た風習は他県にもありますか?

 花嫁が菓子を配るという風習は全国にあります。例えば香川県では「おいり」を、淡路島では「寿」と書かれた袋に駄菓子を詰めたものを配ります。愛知県や福井県などでは、「菓子まき」や「まんじゅうまき」と呼ばれる行事があり、餅投げのように菓子を投げる所もあります。

 ―徳島の花嫁菓子の特徴はどのようなところにあるのでしょうか?

 菓子を配る風習は残っていても、スーパーで買えるような一般的な菓子を配っている所が少なくありません。その点、徳島は伝統的な菓子を残しており、貴重だといえるでしょう。

【残したいハレの日の味~花嫁菓子の伝統と革新】
㊤はこちら⇒https://www.topics.or.jp/articles/-/639943
㊦はこちら⇒https://www.topics.or.jp/articles/-/639953