鳴門市は、沖合の紀伊水道が洋上風力発電に適するかどうかを判断するため、2016年から実施していた調査結果を公表した。対象となる海域約55平方キロのうち、約7・7平方キロを風車の建設に「条件付きで適している」とした。
市によると、調査海域の風速は毎秒6・5メートル(年平均)と、発電に十分な環境だった。ただ、全ての海域が徳島空港(松茂町)の航空交通管制圏や、海上自衛隊徳島教育航空群の訓練空域、船底引き網漁などの操業区域と重なっており、各機関や漁協との調整が必要とした。
市は漁業関係者らに聞き取りなどを行い、調整の困難さなどをエリアごとに検証。制約のハードルが低かった約7・7平方キロを条件付きで適地とした。徳島空港の離着陸に必要な空間や、ワカメの養殖棚が広がる海岸沿いは、事業が実施できない「レッドゾーン」とした。
調査は、再生可能エネルギー導入を推進する市が環境省のモデル事業を受託し、県内で初めて実施した。16年10月から今年3月まで行い、費用は国の委託金約3800万円を充てた。結果は市のホームーページに掲載している。
市環境政策課の津川茂課長は「洋上風力発電の導入にはさまざまな調整が必要となる。事業者は、調査結果を役立ててほしい」と話した。
全国では鳴門以外に宮城県と北海道八雲町、長崎県西海市がモデル事業を実施。同省はこれら10自治体の事業を基に、調査マニュアルを作成した。