徳島をテーマにした掌編小説コンクール「第5回徳島新聞 阿波しらさぎ文学賞」(徳島文学協会、徳島新聞社主催)の全国公募が15日から始まる。最終選考委員は、芥川賞作家の吉村萬壱さん、小山田浩子さんらが務める。前回は海外を含む516点の応募があった。コロナ禍が続くが、多くの応募が期待される。

 阿波しらさぎ文学賞は、原稿用紙15枚以内で、条件は徳島の文化や地名、歴史、産業、人物などを盛り込むこと。徳島に関心を持ってもらい、地域活性化につなげるとともに、新たな書き手の発掘を目指す。

 締め切りは6月10日(当日消印有効)。応募要領は1月15日、徳島新聞紙上で発表される。賞金は、大賞の阿波しらさぎ文学賞が30万円。徳島出身および徳島在住者から選ぶ徳島新聞賞が10万円、25歳以下を対象とした徳島文学協会賞は3万円。

 徳島文学協会による1次選考を経て、吉村さん、小山田さんらが最終選考を行い、8月に結果が発表される。受賞作は徳島新聞紙上と徳島新聞電子版で全文掲載されるほか、文芸誌「徳島文學」に転載される。また、新たに徳間書店の文芸誌「読楽(どくらく)」(2022年12月号)にも転載される。表彰式と記念イベントは9月に行われる予定。

 前回は、43都道府県とスペイン在住の日本人から過去最多の応募があり、徳島市のなかむらあゆみさんが、阿波しらさぎ文学賞を獲得した。県人では初の大賞受賞で女性としても初めての大賞だった。

 最終選考委員の吉村さんは父親が小松島市出身。阿南市出身の作家北條民雄の文学に詳しいほか、講演会などで徳島を訪れている。小山田さんは夫が徳島県出身。この2人の芥川賞作家が選考をすることによって、徳島発の小説のレベルを高め、一人でも多くの作家と作品が誕生することが期待されている。

 よしむら・まんいち 1961年生まれ。2001年「クチュクチュバーン」で文学界新人賞、03年「ハリガネムシ」で芥川賞、16年「臣女」で島清恋愛文学賞、21年「死者にこそふさわしいその場所」。大阪府貝塚市在住。

 おやまだ・ひろこ 1983年生まれ。2010年「工場」で新潮新人賞、13年に同作で織田作之助賞、14年「穴」で芥川賞、18年短編集「庭」、21年「小島」。広島市在住。