徳島市中心部を流れる新町川の水面下を満潮時にガラス窓から観察できる「満ち潮水族館」が非常に汚れている-。同市の70代男性から徳島新聞「あなたとともに~こちら特報班」にこんな声が寄せられた。男性がフェイスブックに水族館の汚れたガラス窓の写真を投稿したところ、多くの利用者から「どうにかしてほしい」と改善を求める意見が相次いでいた。
満ち潮水族館は1997年、新町橋の両たもと付近に県が整備した。新町川の両岸にある防波堤の陸側に通路を設け、歩行者らが川の中をのぞけるように円形や長方形の強化ガラス窓を取り付けた。徳島駅から徒歩5分ほどの場所にあり、ひそかな観光スポットになっている。
男性は月に1、2回、新町橋周辺に足を運んでガラス窓から水面や川の中を見ている。しかし、最近は掃除がされていないのか、ガラスが曇ったりゴミが付いたりしてほとんど見えなくなり、2021年12月中旬に汚れたガラス窓の写真をフェイスブックに投稿した。すると、「せっかくいい物を作ったのに」「汚れていては施設が台無し」「通るたび残念に思っていた」といったコメントが寄せられた。
男性が水族館の前を通り掛かった人にどう感じるかを尋ねると、やはり「汚い」という答えが返ってきたという。男性は「ボランティアのおかげで川もきれいになってきた。せっかく『水の都とくしま』をPRしているのだから、きれいな川を見てほしい」と望む。
水族館を管理している県東部県土整備局によると、1年に1回程度清掃しており、前回は21年3月に行ったという。「職員が定期的に様子を見て、ガラスが見えづらくなれば掃除するようにしている」と担当者は説明する。特報班に情報提供があったことを伝えると、すぐに状況を確認し、急きょ清掃することになった。
12月23日の干潮時、職員4人が1時間ほどかけて作業。窓ガラスにこびり付いたフジツボやコケなどを取り除き、丁寧に磨き上げた。河川・砂防管理担当の三井雅彦課長は「今後は巡回の回数を増やし、見えにくくならないうちに掃除したい。いろんな魚を見て楽しみ、川の環境を身近に感じてほしい」と話した。
後日、きれいになった水族館を見た男性がフェイスブックにその様子を投稿すると、「気持ちがいい」「素晴らしい」などと好意的な反応があった。男性は「川をきれいに保とうとする市民らの意識を高めるきっかけにつながれば」と話した。