昨年行われた大学入学共通テスト=徳島大常三島キャンパス

 新型コロナウイルス下で迎える3度目の受験シーズン。今週末から大学入学共通テストが始まるが、ここに来てオミクロン株の感染が急速に広がっている。徳島県内でも連日感染者が出ており、気の抜けない状況だ。試験直前に濃厚接触者になったら? ワクチンを接種していなくても受験できる? 体調管理って何をしたらいいの? 当日になって慌てることがないよう、気になる疑問をいま一度、確認しよう。

 

健康管理を怠らず 「受験上の注意」をよく読んで

受験上の注意に載っている健康観察記録

 試験中の注意事項や追試験の申請方法など主な注意点は、大学入試センターが受験生に配布している「受験上の注意」に載っている。試験日の2週間程度前から体温測定を行い、23ページにある「健康観察記録」を記入し、体調の変化の有無を確認するよう呼び掛けている。

 

濃厚接触者でも受験できる? 当日に体調が悪くなったら?


※詳しい条件などは受験上の注意や大学入試センターのホームページで要確認

 もし新型コロナやインフルエンザなどの感染症にかかった場合はどうすればいいのか。試験日に入院中または自宅などで療養中の場合は、他の受験生らに感染する恐れがあるため受験できず、追試験(1月29日(土)、30日(日))に回る。

 濃厚接触者の場合は状況によって受験の可否が変わる。無症状で以下の4つの要件を全て満たしていれば、受験できる。

  • 初期スクリーニング(自治体または自治体が指定した医療機関が行うPCR等の検査)の結果が陰性で、その後の検査でも陽性と判明していない
  • 受験当日も無症状である
  • 公共の交通機関(電車、バス、飛行機、旅客船など)を利用せず、人が密集する場所を避けて会場に行く
  • 終日、別室で受験する

 初期スクリーニングの検査結果が出るまでは受験できないが、その後の検査については結果が判明していない場合でも受験できるなど細かい要件があるので、受験上の注意をよく読んで確認してほしい。要件に全て当てはまる受験希望者は、14日(金)午前10時までに受験票の「問い合わせ大学」の欄に載っている連絡先に電話した上で、検査結果など必要事項を提出する必要がある。

 試験日までに新型コロナワクチンを接種したり、新型コロナにかかっていないことを示す書類などを準備したりする必要はない。当日、体調不良になったり事故に巻き込まれたりしても、追試験の受験を申請できるので、落ち着いて当日の受付時間内に問い合わせ大学に連絡し、申請の段取りを進めてほしい。

 受験する濃厚接触者の交通手段として、自家用車、レンタカー、親戚・知人による送迎、バイク、自転車のほか、一定の条件下でタクシー、ハイヤー、海上タクシーの利用が追加で認められた。詳細は大学入試センターのホームページに載っている。情報は随時更新されているため、試験前に一度、ホームページをチェックしておいた方がいいだろう。

 

きょうからでもできる“体調管理”

取材に応えてくれた田中准教授=徳島大学蔵本キャンパス

 新型コロナだけでなく、冬はインフルエンザやノロウイルスなどの感染症が流行しやすい。「受験上の注意」にも「バランスのとれた食事、適度な運動、休養、睡眠など、体調管理を心がけてください」と記されているが、具体的にどのような対策をすればいいのか。徳島大大学院医歯薬学研究部の田中祐子准教授(学校保健学)に教えてもらった。

 

睡眠は8時間、食事もしっかり取ること

 受験当日にこれまでの学習の成果を十分に発揮するには「心と体が健康な状態」であることが一番だ。睡眠は毎日8時間程度まとめて取ることで、脳の疲れが取れる。眠っている間に記憶を整理して定着させる働きがあるため、決まった時間に寝て睡眠不足にならない方が学習効果が高くなる。

 しっかりと食事を取ることも重要だ。特に朝は暖かいスープやみそ汁、パンやご飯、バランスのいいおかずをよくかんで食べてほしい。ゆず茶やレモンティーなどかんきつ系の飲み物でビタミンを併せて取ると、体が温まり、喉のせき込み予防にも効果がある。火が十分に通っていない生の肉や魚介類は、食中毒を予防するために避けた方がいいかもしれない。受験の1週間ぐらい前から当日のスケジュールに合わせ、試験日と同じリズムで生活してみてはどうか。朝食後にトイレに行きたくなる人は、早めに起きて排便を済ませるようにすると安心だ。

 

ダンスや散歩、お守りなどで心と体を整えて

 長時間、机に向かって学習を続けていると、体の疲労もたまる。1時間ほどたったら机から離れ、好きなアイドルグループのダンスを踊ったり、景色を見ながら近所を散歩したりするのもいい。固まった体の緊張をほぐすことが、楽しく集中して学習することにつながる。

 不安があるときは、自分の好きな物を身近に置いて学習環境を整えるのも一つの手だ。大切な人からもらったお守りや縫いぐるみでもいい。好きな物がそばにあると心が温かくなり、落ち着いて学習が進む。両親をはじめ親戚や学校の先生、塾の先生たちは、安心して受験できるように配慮して環境を整えてくれている。皆さんがそのことに気付くことも心の大きな支えになり、温かい気持ちになるでしょう。

 

体調を崩さないよう声掛け 駆け上がる虎のように最後まで諦めないで

 インフルエンザも含めた感染症予防のポイントは「外出したり人と接触したりしたときは必ず手洗いや消毒をする」「人と接するときはマスク(できれば不織布のもの)を正しく着ける」「1時間に1回程度は部屋の換気をして、きれいな空気を循環させる」の3つ。部屋の加湿は喉の粘膜を守り、感染予防につながる。湿度の目安は40%以上だが、ぬれたタオルを1枚、ハンガーに掛けておいたり、コップに水を入れて置いておく程度でも大丈夫だろう。

 新型コロナの感染が拡大する中で、「感染したらどうしよう」というストレスがあるかもしれないが、不必要に怖がるよりも家族みんなで体調を崩さないように声を掛け合い、温かい家庭の中で学習してほしい。崖を駆け上がる虎のように、最後まで諦めないで頑張ってください。