麻生太郎副総理兼財務相が、つい先日開いた派閥の会合でこう呼び掛けた。「試合が終わるかと思ったらロスタイムが5分。長く感じた。この国会延長も同じ。ロスタイムの間に下手な失点がないように」

 「5分」は、サッカーW杯で日本がコロンビアに競り勝った初戦の追加時間。今国会の32日間延長をこれになぞらえ、問題を起こすなとくぎを刺したのだ

 問題発言の多さで有名なのは、当の麻生氏である。出席議員から「気を付けるのは、あんた」と突っ込まんばかりの笑いが湧いたのは、ご想像の通り

 同じ日、仲間が失言で謝罪したのは偶然だろうか。穴見陽一氏は、派閥は違えど同じ自民党の国会議員。受動喫煙対策を議論した衆院委員会で、参考人として招かれ発言していた肺がん患者に、やじを飛ばした。事もあろうに「いいかげんにしろ」と

 患者が屋外の喫煙所に関し「吸う場所がないと困る気持ちも分かる」と、喫煙者に配慮して意見した時だという。なぜ、ああも不快な言葉が口を突いて出るのか。「あんただ」と、やじをそのまま議員に返したい

 野党などの批判を受け、謝罪が6日後だったのにもあきれる。麻生氏に倣えば、今W杯で初採用されたビデオ判定による中断を経てファウル―と例えられよう。審判が穴見氏に示すカードの色は警告の黄か、退場の赤か。