徳島大薬学部の笠原二郎准教授(神経病態解析学)らが13日、イタリア・ミラノで開かれたミラノ国際博覧会(万博)の学術イベントに参加し、上勝町の葉っぱビジネス「彩(いろどり)」や阿波晩茶について発表した。「人の健康と栄養における植物の利用」をテーマに、8カ国の研究者らが講演や意見交換を行い、徳島大はこのテーマにふさわしい例として同町を取り上げた。
イベントはミラノ大主催で、イタリアをはじめインド、南アフリカなどの研究者や健康食品会社の担当者らが集まった。徳島大薬学部は、2013年9月にミラノ大薬学部と学術協定を結んでおり、参加を要請された。
笠原准教授は意見交換会に出席し、約100人を前に、上勝町の棚田や原生林などの写真をスライドに映しながら、薬草が豊富な同町の自然環境を説明。月ケ谷温泉で開かれている薬草講座と薬草料理について話した。
また、料理のつまものに使う葉っぱを商品化した「彩」の取り組みも紹介し、研究者らの関心を引き付けた。
これに先立ち行われた講演会には、徳島大から2人が登壇。福井裕行特任教授(分子難治性疾患学)が、花粉症の症状改善につながることが期待される新しい抗アレルギー物質を、同町特産の阿波晩茶から抽出したことを発表した。宮本理人助教(医薬品機能生化学)は、スダチの果皮に含まれる物質に、血糖値の上昇を抑える効果があることを紹介した。
イベントを終え、笠原准教授は「人々のニーズと調和させながら、地域の資源を活用していくことの大切さを感じた」と話した。
20日には上勝町福原の福原ふれあいセンターで報告会が行われる。