虫送りの伝承を説明する紙芝居を作った田村館長(左)ら=阿南市の長生公民館

虫送りの伝承を説明する紙芝居を作った田村館長(左)ら=阿南市の長生公民館

 阿南市長生町で18日夜に行われる伝統の「虫送り」に合わせ、住民有志が由来などを説明するオリジナル紙芝居を作った。虫送りの本番前に子どもらに披露し、行事の最中に発せられる「サネモリさん」の掛け声の意味などについて、深く知ってもらうのが狙い。

 紙芝居は13枚で縦52センチ、横92センチの画用紙に描いた。手掛けたのは長生公民館の田村恭子館長(66)=同町恋田=ら、地元住民でつくる虫送り実行委員会のメンバー3人。7月上旬から、アクリル絵の具を使って同公民館で制作していた。

 紙芝居では、平安時代末期の武将斎藤実盛が稲につまずき、敵に討ち取られた言い伝えがもととなっていることを説明。稲をたたる害虫サネモリとなった実盛の魂を慰めるため、農民がたいまつで虫を町外へ追い払い、五穀豊穣を祈るという筋立てになっている。

 18日午後6時に長生町上荒井の桑野川南岸堤防に集合し、紙芝居を披露。その後、同7時ごろから虫送りを始める。LEDのちょうちんを手にした子どもや大小のたいまつを持った大人が「サネモリさんのお通りじゃ」と声を上げながら、下流へ約1キロ練り歩く。

 長生町の虫送りは戦後長らく途絶えていたが、2003年に復活。11年からは田植え姿の女性が登場するなど、地域ぐるみで伝承に取り組んでいる。

 田村さんは「虫送りの行事は、昔は桑野川沿いの各町で行っていたが、今は長生のみ。背景を教えることで、若者に虫送りへの関心を高めてもらいたい」と話している。雨天の場合は30日夜に順延。問い合わせは長生公民館<電0884(23)5515>。