海のごみと聞いて、こんな場面が思い浮かばないだろうか。漂うレジ袋を好物のクラゲと間違って食べ、消化できずに苦しんで、哀れウミガメ、ついには・・・

 ですよね、と同意を求めても、日和佐うみがめ博物館カレッタの田中宇輝学芸員は、言いにくそうに頭をかいた。「少なくとも大浜海岸に来るようなアカウミガメでは、そういったケースはまれ。ビール瓶をのみこんで平気なのもいるぐらいですから。護岸工事や光害の方がよほど深刻です」

 想定外の返答に取材の当ては外れたが、今日の本題はここから。「だからといってごみを捨てていい、というわけではないのです」。海鳥や魚など、生態系への悪影響が地球規模で懸念されている

 海のごみの85%はプラスチックとされる。破れ砕けて直径5ミリ以下まで細かくなれば、マイクロプラスチックと呼ぶ。環境中の有害化学物質を吸着する性質があるそうだ。それを魚や貝が食べ、巡って人の口に入る

 欧州連合(EU)は、ストローなど使い捨てプラスチック製品の流通を禁止する。当然、日本もその方向か、と期待したら、こちらも当てが外れた

 先の先進7カ国首脳会議で日本は、海のごみの削減目標を記す文書への署名を、トランプさんのアメリカとともに拒んだ。世界に冠たる海洋国家のこのありさま。半端なく恥ずかしい。