鳴門は2012~16年の全国高校野球選手権徳島大会で、県高校野球史上初の5連覇を成し遂げた。この間、決勝で3度対戦したのが鳴門渦潮。好投手と鍛えられた野手陣を擁した鳴門を前に、いずれもわずかの差で涙をのんだ。

 両校が最初にぶつかった12年は鳴門渦潮の初陣。鳴門工と鳴門一が4月に統合し、動き出したばかりだった。後にプロ野球入りするエースの美間優槻(現広島)ら2校の有力選手がレギュラーの座を争い、注目度も高かった。

 県春季大会は、旧鳴門工が前年の秋季四国大会で8強に入っていたことから第1シードに入った。しかし、準決勝で池田に敗れて4強止まり。主将を務めた中山拓哉(24)=千葉県船橋市在住、会社員=は「最初はばらばらだった」と当時のチーム事情を明かす。

 この年、県内の頂点に立っていたのは鳴門だった。秋季四国大会で42年ぶりに優勝し、32年ぶりに選抜大会に出場。1回戦から2試合連続でサヨナラ勝ちを収めるなどし、同校として1970年以来、42年ぶりに8強入りを果たした。準々決勝で敗れたが、古豪復活を強く印象づけた。

 校名が変わって一気に甲子園出場を目指す鳴門渦潮にとって、最大の関門が鳴門。中山は「まずチームが一つになる必要があった。コミュニケーションを大事にしながら練習していた」と言う。次第にチームはまとまり、本来の力を発揮できるようになっていった。

 迎えた2012年夏の94回大会。鳴門は第1シード、鳴門渦潮は第3シードに入った。1回戦の鳴門渦潮は、美間が無安打無得点の好投で快勝。打線も活発で準々決勝の小松島戦は22安打を放ち、14―7で打ち勝った。準決勝で川島を破り、甲子園を射程に捉えた。

 鳴門は初戦、準々決勝とコールド勝ち。準決勝の池田戦も5―0と順当に決勝に進んだ。

 決勝の序盤。鳴門渦潮は押し気味に試合を進めたが、相手のエース後藤田の緩急をつけた巧みな投球に翻弄(ほんろう)され、得点できない。逆に鳴門は小刻みに加点し八回を終えて6―0。鳴門の主将だった杉本京太(24)=徳島市丈六町、大学院生=は「ずばぬけた選手がいるわけではなかったが、どこからでも点が取れた。つなぐ野球を徹底していた」と振り返る。

4回に追加点を奪われマウンドに集まる鳴門渦潮ナイン。鳴門渦潮として初陣での甲子園出場はならなかった=2012年7月28日、鳴門オロナミンC球場

 鳴門渦潮は九回に3点を返したものの、反撃もここまで。ただ、放った安打は鳴門の8に対して鳴門渦潮は14。統合したばかりのチームが甲子園出場を目標にまとまり、存在感を示した。

 2年後の96回大会と98回大会の決勝で鳴門渦潮は再び鳴門に挑んだが、それぞれ5―6、1―2で競り負けた。そして昨夏の99回大会で鳴門の連覇が途絶え、鳴門渦潮が学校統合後初めて甲子園出場を果たした。

 兵庫県から旧鳴門工に進学した中山にとって、徳島は第二の故郷。昨夏は甲子園でプレーする後輩をテレビで応援した。「よくやった。うらやましかった」と話し、今後の活躍に期待した。

 今年で100回の節目を迎える徳島大会。鳴門渦潮が連覇し、鳴門との2強時代へ突入するのか。他校が台頭するのか。注目の大会は7月7日に幕を開ける。