静岡県西伊豆町で7人が感電し2人が死亡した事故で、原因とみられる鳥獣害対策用の電気柵は、徳島県内でも設置する農家が増えている。県によると、国や県の補助で設置された電気柵は2014年度末時点で総延長627・2キロ。感電事故は報告されていないが、県は21日、安全確認を呼び掛ける文書を市町村などに通知した。
県によると、電気柵は県が設置補助を始めた1999年ごろから広がり、農業被害の拡大を受けて増え続けた。ここ数年の総延長は横ばいで、2014年度は20・4キロ増設された。山間部ばかりではなく、平野部の通学路沿いなど、子どもが近づきやすい場所にも設けられている。
生産者が自分で設置する場合は資材費全額、業者を通す場合は半額、国の補助を受けられる。設置状況は補助申請に基づいて市町村が確認しているが、その後の点検は設置者に委ねられている。
県内ではこれまで感電事故はなく、鳥獣が感電死したという報告もない。ただ、兵庫県南あわじ市では09年8月に感電死事故が起きており、設置状況によっては人に被害を及ぼす恐れがある。
電気事業法では、危険を呼び掛ける看板を設置することや、人が容易に立ち入れる場所で30ボルト以上の電源から電気を引く場合は漏電による感電事故を防ぐ装置を取り付けることを義務付けている。従わない場合は30万円以下の罰金が科せられる。
文書は市町村やJAなど62機関に発送。設置状況の確認と、設置者への周知徹底を求めている。県農林水産政策課は「正しい設置と小まめな点検を心掛けてほしい」と呼び掛けている。