【上】井口宏子さん【下】緑の繭をつくるヤママユ=美馬市穴吹町井口

【上】井口宏子さん【下】緑の繭をつくるヤママユ=美馬市穴吹町井口

 天蚕と呼ばれ緑の繭(まゆ)をつくるヤママユを、井口宏子さん(77)=徳島市中島田町4=がかつて住んでいた美馬市穴吹町井口の自宅近くの山裾で飼育している。繭からつくられる絹糸は光沢の美しさから「繊維のダイヤモンド」と呼ばれるが、全国的に生産が減少している。飼育場の管理が十分できなくなった井口さんは、県内で飼育を継続させるため「関心のある人がいれば飼育方法を伝えたい」と話している。

 井口さんは2008年、同町井口の山林で緑の繭を見つけた。蚕に詳しい職員がいる愛媛県農林水産研究所に持って行き「飼育したい」と相談したところ、よく似た種類で広く知られているヤママユの卵をもらった。

 井口さんは約10平方メートルの飼育場をつくり、餌となるクヌギを植えて外敵が入らないよう網で覆った。県外の生産農家から飼育方法を学び、一時は100匹以上まで増やした。

 しかし、2年前に徳島市に引っ越してからは管理が不十分になり、今は10匹程度になっている。「飼育が途絶えてしまうかもしれない」と危機感を強めた井口さんは、関心のある人に飼育記録や飼育方法を伝えるととともに卵を提供することにした。問い合わせは井口さん<電080(5415)1082>。