新型コロナウイルス感染予防のため、徳島県立学校37校で9~15日に分散登校が実施された。県は、登校していない生徒はライブ配信のオンライン授業を受けるとの方針を掲げていたが、中高一貫の富岡東高(阿南市)は事前に撮影した授業動画の配信などで対応した。これに対し、保護者から「学ぶ機会が確保されない」との不満の声が徳島新聞「あなたとともに~こちら特報班」に寄せられた。富岡東高や県教委の考えを聞いた。

 富岡東高の分散登校では、各クラスの半数ずつが午前と午後にそれぞれ登下校した。昼食は各家庭で取るため感染リスクを軽減でき、毎日登校して生活リズムを保てるといった効果が見込めることから、この形式にしたという。

 授業は午前と午後で同じ内容にした。登校していない生徒に向けては、事前に撮影した国語など3教科の授業動画を視聴できるようホームページに掲載。課題プリントの配信もあり、自宅での学習を促した。

 一方、オンライン授業は見送った。県教委によると、午前や午後にオンライン授業を行うと、自宅が遠方にある生徒は通学や帰宅途中に配信時間を迎える恐れがある。視聴環境で公平性を欠くのが理由という。

 飯泉嘉門知事は4日の会見で、分散登校の実施に向けて「登校していない生徒はライブ配信で授業を受けてもらう」と説明した。県内の公立高校で最初に分散登校を始めた城東高(徳島市)は、クラスの半数ごとに1日置きの登校とした。登校日でない生徒は、自宅からオンラインで授業を受けた。

 富岡東高のある保護者は「授業動画より双方向のライブ配信の方が子どもは勉強に身が入るし、教員の負担も軽減されるはずだ」と主張。授業数の減少による進度の遅れも気掛かりだと訴える。

 午後に帰宅する遠距離通学生の中には、公共交通機関の便数が少ないため保護者の迎えが必要になるケースもあるという。当面の分散登校期間は終わったものの「今後に備え、城東高と同様に、1日置きの登校に改めるよう求める保護者は少なくない」と話す。

 富岡東高の助道和雄教頭は「学校行事を厳選することで授業数の確保に努めている。全ての教科をライブ配信する環境には至っていないが、できる範囲で対応している」とする。

 県教委は「どのやり方が正しいのかという判断は難しい。各校は通学距離など生徒の事情を考慮し、感染対策と学びの継続に向けた対応を取っている」と理解を求めた。

 県立学校の分散登校 新型コロナウイルス感染拡大防止策として、県教委が特別支援学校を除く県立学校37校に実施するよう指示。7日から城東高、8日から徳島科技高が始め、9~15日は生徒が安心して学習に臨む集中期間として全校で実施した。生徒を午前と午後の登校に分けたり、1日置きの登校にしたりと実施方法は各校で異なり、登校していない生徒はライブ配信などオンラインで学習するとした。期間中は原則として部活動を禁止した。

 

あなたとともに~こちら特報班

「あなた」の声をみんなの未来に
 どんなに小さな声でも、社会を変え、みんなの未来を明るくできるかもしれません。まずは「あなた」から依頼を寄せてください。
 ※取材リクエスト、提供された情報に関して、特報班からメールや電話で連絡する場合があります。投稿をいただいても取材できない場合もありますので、ご了承ください。

友だち追加
LINE公式アカウント

メールの場合:syakai-bu@topics.or.jp (@は半角)