富山市の交番で警部補が殺害され、警備員の男性が撃たれて亡くなった事件は、警察や学校関係者に、重い課題を突き付けた。

 拳銃は、市民や警察官の身を守る目的だけでなく、容疑者を制圧する際にも一定の効果があるとされる。

 だが、奪われれば、危険極まりない凶器に変わる。

 逮捕されたのは元自衛官で21歳の男だ。警部補を刃物で刺し、回転式の拳銃を奪って逃走。近くの小学校付近で警備員の男性に発砲した。警部補と男性は死亡した。

 容疑者はなぜ、こんな卑劣な犯行に及んだのか。市民の安全安心のよりどころである交番を襲ったのか。

 事件当日、「アルバイト先で上司を殴った。バイトを辞める」との趣旨の内容を無料通信アプリで家族に伝えていたという。サバイバルナイフとダガーナイフのようなものなど少なくとも4本以上の刃物を持っていたことも分かっているが、何の目的で所持していたのか。動機の解明が欠かせない。

 憂慮しなければならないのは、拳銃を奪われる事件が度々起きていることである。警察庁の集計では、2013年以降、今回を除いて地域警察官の拳銃が奪われたのは6件を数える。そのうち3件で発砲があった。

 警察は、拳銃を守る取り組みを進めていた。警察庁は今年4月、所持する拳銃は常に狙われているとの危機意識を持つよう、全国の警察に改めて指示を出した。交番や路上などで不意に襲われたケースを想定した訓練の実施も求めていたようだ。

 岐阜県多治見市で05年、ひもが引きちぎられて拳銃が奪われた事件を受け、警察庁はひもの芯を強化するという対策を取った経緯もある。

 今回の事件を受けて、警察庁は拳銃の着装器具を改良し、警察官本人以外は拳銃を抜きにくくする再発防止策を検討している。20年ごろまでとしていた改良予定を、前倒しする方針だが、急がなければならない。

 拳銃を守るため、二重、三重の対策を講じていくことが大事だ。

 交番で奪われた拳銃が、小学校付近で使用されたことは地域に大きな衝撃を与えた。

 小学校の改修工事で警備員をしていた男性が撃たれ、校門付近で倒れた。容疑者は学校の敷地内に侵入した後、駆け付けた警察官に拳銃で撃たれた。

 事件発生を警察から知らされた小学校は不審者対応のマニュアルを参考にして、児童を体育館に避難させた。男性教諭が校舎の玄関付近を警戒したという。

 児童たちは落ち着いた様子で泣く子もいなかったというが、警察の対応が遅れればどうなっていたか。

 子どもたちの命をどう守っていくのか。学校や通学路などの安全対策を強化するとともに、保護者と地域が一体となった取り組みが必要だ。