3月8日の国際女性デーに合わせ、上智大の三浦まり教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」が、都道府県版ジェンダー・ギャップ指数の試算を公表した。世界各国の男女間格差を測る〝本家〟のジェンダー・ギャップ指数はスイスのシンクタンク、世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表しており、日本は昨年、120位と世界最低レベルだった。
都道府県版も同様の手法で統計処理した。内閣府の統計など、いずれもオープンデータの計28指標を選び「政治」「行政」「教育」「経済」の4分野で算出。その結果、行政の1位は鳥取で、政治の1位は東京、教育は広島、経済は沖縄がトップだった。ただ、政治などでは全国的に男女格差が大きく、上位の県もさらなる取り組みが必要だ。(共同通信社会部)
指標を選定したのは上智大法学部の三浦教授で、統計処理は経済学部の竹内明香准教授が担当した。指数は1に近いほど男女平等であることを示し、反対に男性ばかりで女性が1人もいないとゼロになる。
行政は1位の鳥取が0・395、最も低い北海道が0・17と地域差が大きい。鳥取は現職の平井伸治氏ら歴代2知事が女性登用を進め、管理職の2割、審議会委員の4割以上を占める。2位は徳島、3位は滋賀だった。
政治は1位の東京でも0・292と「1=平等」とは程遠い。東京は都議の3割が女性だ。2位は神奈川、3位は新潟が続いた。
教育1位の広島(0・503)は小学校長の4割を女性が占めるなど学校の管理職への登用が進んでいる。2位は神奈川、3位は石川だった。
経済は女性社長が多いなどの理由で沖縄が0・384でトップ。ただ、男性も賃金が低い地方は平等度が高くなる傾向があるなど、経済の各指標は注意深く読み解く必要がある。
研究会は来年以降、都道府県版指数をさらに改善する予定。WEFは政治、経済、教育、健康の4分野を分析しているが、医療水準が高い日本では健康は地域差が小さいことや、生理や妊娠・出産などを巡る課題は男女比からは見えづらいため除外し、住民に身近な地方自治を担う行政を代わりに採用した。
三浦教授は「データで可視化することで足元の強みと課題を知り、地域からジェンダー平等を実現してほしい。賃金や大学進学率など都市部と地方に差がある指標は政府と自治体が連携し、地域格差と男女格差を並行して解決することも重要だ」と話している。
三浦教授は、この指標は都道府県の順位付けが目的ではないと強調する。「数値の改善だけが目的になるのは本末転倒。重要なのは指標をきっかけに、働き方や日常、意識を変えることです」