女性議員を増やすための「政治分野における男女共同参画推進法」が昨年6月に改正・施行され、政党や国、地方公共団体にセクハラ・マタハラ対策や議員活動と家庭の両立支援を求める規定が新たに盛り込まれた。

 徳島県議会と県内24市町村議会は2021年6月定例会までに、議員の産休期間(産前・産後を含め14週または18週)を会議規則に明記した。これは、各議会が規則をつくる際に参照する「標準議会会議規則」に明記されたためだ。産前・産後休業を取ろうとすると非難されるなどし、取得をためらう議員が多かったことから、全国の議員有志でつくる「出産議員ネットワーク」と「子育て議員連盟」が規則の改正を働き掛けた。

 では、産休中の議員報酬はどうなっているのだろうか。県内の25議会にたずねた。

 小松島、美馬の両市議会は長期欠席時の報酬減額を定めた条例で、出産の場合は減額の対象外と明記している。鳴門、三好、北島の3市町議会は長期欠席時の報酬減額についての規定が適用されると答えた。神山、板野、上勝の3町議会は「未定」「今後、検討する」と回答した。この3議会には現在、女性議員がいない。「満額支給」「満額支給予定」と回答した議会は15あった。

  • 小松島市議会、美馬市議会「長期欠席時の報酬の減額を定めた条例で、出産は減額の対象外と明記しており、満額支給」
  • 松茂町議会「会議規則に定められた産休期間中(16週)は満額支給で、その後連続して休んだ場合は報酬減額の対象期間になると解釈」
  • 那賀町議会「長期欠席時の報酬減額を定めた規定があるが、産休がこの対象になるかどうかを協議する必要がある」
  • 鳴門市議会、三好市議会、北島町議会 「長期欠席時の報酬減額を定めた条例が適用される」
  • 徳島市議会、阿南市議会、吉野川市議会、阿波市議会、石井町議会、勝浦町議会、佐那河内村議会、美波町議会、牟岐町議会、海陽町議会、藍住町議会、上板町議会、つるぎ町議会、東みよし町議会、県議会 「満額支給」「満額支給予定」
  • 上勝町議会、板野町議会、神山町議会 「未定」「今後、検討する」

 セクハラ対策については、定期的な研修を実施したり、相談窓口を設置したりしている議会はない

 四国大学の本田利広教授(地方自治論)は「社会人学生の中にも、育児と議員活動の両立への懸念から立候補を見送った女性がいる。子育ての負担を周囲にかけることになるので、それを心苦しく思ったりもしていたようだ」とした上で、「こんなふうに感じるのは、男性よりも女性が多いはずだ。議会は横並びの意識も強い。法律が改正され、他の議会や地域住民の反応を見ながら施策を進めるところもある。議会事務局だけではなく、議員もその気にならないとこうした改革は進まない。議会の姿勢が試されていると思って取り組んでほしい」と話した。

 早稲田大学マニフェスト研究所の「議会改革度調査2019~議会における多様性の確保について」は、長期欠席した場合に報酬を減額する議会が17・7%あったとした上で、「出産に伴う長期療養を適用除外することも今後考えられる」と提言している。長内紳悟招聘研究員は「議会は男女共同参画の施策を含めて行政の政策をチェックするのが仕事だ。感性を磨き、率先して制度整備をしていくのが本来の姿だ」と指摘した。