農薬と化学肥料を減らした農業に取り組む「エコファーマー」に認定された農家が、徳島県内で減り続けている。2014年度末時点の認定数は970戸で、5年続けて前年度を下回り、11年ぶりに1000戸を割り込んだ。手間が掛かる半面、収入増につながらず敬遠されているのが理由。県は担い手確保に向け、消費者へのPR強化に努める。
国のエコファーマー制度は、環境に優しい農業を進めようと1999年度に始まった。認定を受けるには、堆肥を混ぜた土作りをするほか、農薬の散布回数と化学肥料の総量を2割ずつ減らさなければならない。認定されれば、農産物を入れた段ボール箱や包装紙に「エコファーマー」と書かれたマークを印字でき、消費者にアピールできる。
県内では2000年度に12戸だったが年々増え、ピークの06年度には1229戸に上った。しかし、その後は減少の一途をたどっている。県もうかるブランド推進課によると、農薬や化学肥料を減らすと草抜きなどの作業が増え、害虫が発生していないか小まめな観察が必要になる。農家からは「手間の割に収入は増えない」という声が聞かれるという。
認定後、5年ごとに必要な更新をしない農家もある。鳴門市大津町東大幸地区のレンコン農家でつくる「東大幸エコファーマーズ」では11戸が認定を受けていたが、うち2戸が更新せずにやめた。斎藤良光会長(53)は「エコファーマーの農産物といっても市場で付加価値がつかず、仲卸業者が高く買い取ってくれない」と嘆く。
これを受け、県は消費者への周知を図ろうと2~3月、県内スーパー2店にコーナーを設けてエコファーマーの生産品を並べる「こだわり農産物フェア」を初めて開いた。今後も認知度向上につながる施策を打ち出すという。
同課は「エコファーマーの取り組みは、農地への負荷も少ない。環境に優しい農業につなげるため、ぜひ申請を」と呼び掛けている。