徳島大の学生が、徳島市の銀座商店街の風景や商店主を写した古い白黒写真をカラー写真のように加工し、当時の様子を鮮やかに再現した。写真の持ち主の記憶を頼りに色を選び、20枚をカラー化。商店街のイベントで展示したところ、当時を懐かしむ多くの人でにぎわった。
カラー化に取り組んだのは、大学院総合科学教育部2年の山川英理さん(24)ら院生2人と総合科学部生5人。大学院の佐原理准教授(映像デザイン)の授業を受けており、佐原准教授が課題として写真のカラー化を提案した。
白黒写真は1910~50年に撮られたもので、商店主ら3人から提供してもらった。学生らは6月から商店街を訪ね、当時の建物やポスター、服の色などについて聞き取りしたほか、インターネットで参考になる写真を探した。色付けは画像処理ソフトで行い、戦後復興期の活気あふれる銀座商店街の夜景や、あでやかな花嫁衣装などをカラー化した。
「15歳の頃の写真」と題された一枚は、持ち主の平野艶子さん(87)=徳島市勝占町中須=が戦時中に「いつ死ぬか分からないから、きれいな姿を残したい」と、友人3人とおそろいの服を着て、商店街内の写真店で撮影した。
「当時の精いっぱいのおしゃれをした」と言う平野さんから話を聞き、服の藍色を再現した。
カラー化した写真は拡大し、6月末に商店街であったイベント「銀座けやき市」で元の白黒写真と並べて展示した。当時を知るお年寄りだけでなく、若い親子連れや学生からも注目を集めた。
山川さんは「持ち主の記憶に頼っているので実際の色とは異なる部分もあるかもしれないが、持ち主の思いを大事にしながら再現した。若い人にも見てもらいたい」と話している。カラー化した写真は持ち主や商店街に寄贈し、店舗や自宅で飾ってもらう。