市町村が土地を1筆ごとに調査し、境界や面積を画定する地籍調査の徳島県内の進捗(しんちょく)率が、2014年度末時点で33・2%と全国平均の50・9%を大きく下回っている。前年度からの伸びは1・4ポイントで全国平均の0・8ポイントを上回ったものの、進捗率は全国28位で四国4県では最下位だった。県は境界画定が災害時の早期復興・復旧に役立つとして取り組みを強化しているが、思うようにはかどっていない。

 市町村別の進捗率は≪別表≫の通り。県内では最初に阿南市が1953年度に調査を始め、60年代に入ってから他の市町村でも行うようになった。
 
 既に調査が完了しているのは吉野川、松茂、北島の3市町のみ。着手が13年度と最も遅かった美波町と、神山、牟岐、海陽、藍住の5町の進捗率は10%に満たない。
 
 調査が思うように進まない背景には、権利関係が複雑な土地が多く境界確認に時間がかかることや、調査の必要性や効果についての理解不足があるとされる。調査に当たる市町村の予算(調査費の4分の1負担)や人員の確保が難しいと訴える市町村も多い。鳴門、小松島、阿南、板野の4市町は調査を休止している。
 
 県は所有者の死亡や過疎高齢化で境界画定が困難になりつつあることや、調査が地元雇用の創出につながることから、09年度に重要施策として位置付けた。東日本大震災で境界画定が被災地復興に有効だったことを重視し、13年度からは南海トラフ巨大地震対策として推進。津波浸水被害区域や中央構造線の周辺区域を重点エリアとし、優先的に調査を進めている。
 
 事業予算は国負担分(調査費用の半額)を合わせ、09~13年度は08年度の倍となる6億4400万円を毎年計上した。14年度からは10億円に増額している。ところが14年度中に調査が完了したのは、16市町村の53平方キロメートル。市町村負担分を合わせると1平方キロメートルの調査に約2500万円かかった計算になる。
 
 県農産漁村振興課は山間部に比べて1筆当たりの面積が小さく、測量などに手間がかかる市街地が増えており、費用と面積は比例しないと説明。「防災関連の公共工事に合わせるなど、目に見えて高い効果が期待できる場所で重点的に進めていく」としている。