3月8日の国際女性デーに合わせ、上智大の研究者らでつくる研究会が「都道府県版ジェンダーギャップ指数」を公表した。都道府県ごとの男女平等度の現状を映し出し、地域の強みと課題を示している。
◆男女格差を都道府県ごとに見てみると…
「ジェンダー・ギャップ指数」を試算
https://digital.kyodonews.jp/gender2022/paid.html
■行政の男女平等は鳥取1位、徳島2位 教育は広島、経済は沖縄
■足元の特色見つめ、変化を 上智大の三浦まり教授
■4分野分析
・【政治】女性進出、選挙制度も課題 都道府県議、複数区で当選
・【行政】鳥取、知事主導で女性登用 広い北海道、転勤支障に
・【教育】学校管理職への登用で上位 全都道府県に女性教育委員
・【経済】男性の賃金抑制が影響か 地域・性別の格差解決を
【28指標の選定方法】
都道府県版ジェンダー・ギャップ指数には官公庁の統計を中心に、都道府県別、男女別を分析できる28指標を選んだ。世界経済フォーラムは政治、教育、経済、健康の4分野を分析しているが、健康は生理や妊娠・出産などを巡る課題が男女比では見えづらいことなどから除外し、代わりに行政を採用した。
▽政治分野
有権者が選挙で選ぶ首長や国会議員(衆院は小選挙区、参院は選挙区。比例復活は除外)、地方議員など6指標を選定。女性がいない議会数も調べた。知事の歴代在職年数の男女比は沖縄を除く46都道府県は1947年4月の地方自治法施行後、沖縄県は72年5月の復帰後で計算した。
▽行政分野
都道府県や市区町村の管理職、審議会委員、職員採用の男女比など9指標を幅広く選んだ。特にジェンダー視点が重要な防災会議は審議会から抜き出して別枠の指標とした。都道府県の男性職員の育休取得率も企業への波及が期待できるため採用した。
▽教育分野
学校の管理職や大学進学率の男女比など6指標を選定。女性の校長は少ない上、中等教育ではさらになりにくいため、小学校と中学高校の校長を単独の指標とした。教員によるわいせつ事案の対応や性教育が課題のため、教育委員会の委員や教委事務局の管理職にも着目した。
▽経済分野
女性の非正規雇用の割合が高く、男性との賃金格差もあるため、フルタイムの仕事に就く割合や賃金などを7指標で比較した。企業の役員や管理職の男女比のほか、女性への家事・育児責任の集中がジェンダー不平等の背景にあるため、共働き家庭の家事・育児時間の男女格差も含めた。