徳島ゆかりの文学者の戦争作品や関連資料が並ぶ特別展=県立文学書道館

 徳島ゆかりの小説家や歌人の戦争文学を紹介する特別展「戦後70年 文学に描かれた戦争-徳島ゆかりの作品を中心に」が7日、徳島市の県立文学書道館で始まった。徳島大空襲や戦地の悲惨な戦争体験を身を切るような思いで描いた作品ばかりで、直筆原稿や戦時中の写真が平和の尊さを静かに訴え掛けてくる。9月23日まで。

 徳島ゆかりの文学者21人を取り上げ、作品の一節を書いたパネルや関連資料など約150点を展示している。

 中でも、三好市出身の小説家富士正晴さんの作品は戦争への痛烈な皮肉に満ちている。直木賞候補にもなった「帝国軍隊に於ける学習・序」では、日本兵を「神兵でもなんでもないね、現実の兵隊は。強盗で人殺しで火つけで強姦ばかりして」と切り捨てる。30歳で陸軍兵として中国に赴き、戦地で政治も人間も宗教も信じられなくなったというニヒリズムが、戦争の愚かさを際立たせる。

 阿南市出身の歌人山下榮さんは徳島白菊特攻隊の操縦員だった。沖縄特攻の際、燃料切れで帰還を余儀なくされた。

 「生きながら既に神ぞと告げられぬ神なる吾れの悩みは尽きず」「海深く墜ちし友みな忘れられ今年も終戦記念日昏るる」

 歌集「遂に戦死せず」に収録された作品は、元特攻隊員でしか表現できない悲しみにあふれている。

 このほか、徳島市出身の瀬戸内寂聴さんの自伝小説「いずこより」や、両親の古里・徳島に疎開中に大空襲を体験した森内俊雄さんの小説「眉山」などが紹介され、来場者の目を引く。

 富永正志館長は「戦争体験者が減る中、今後は戦争文学が重要な役割を果たす。多くの人に作品を知ってほしい」と話している。