家庭で、職場で、学校で。きのう一日、顔を合わせれば大抵話題に上ったのではないだろうか。「日本の試合、どう思う?」。国民総評論家の状態で、サッカーW杯のポーランド戦がかなりの物議を醸している

 議論の的は最後の10分間。日本は1点を追う展開ながらゴールを狙わず、ボール回しに徹した。全ては1次リーグを勝ち抜くため。他会場の試合結果によっては裏目に出る恐れもあったが吉と出た

 <うまく敵に勝つ者は、敵と戦わない>という老子の教えに従ったかのような戦術である。「信条としては不本意だが」と西野朗監督。それでも「結果が全て」「試合巧者だ」と支持する向きは多い

 翻って、眉をひそめる人は「スポーツマンシップに反する」「臆面もない時間稼ぎ」と厳しい。テレビ中継で伝わってきた以上に、現場でのブーイングは相当だったようだ

 きのうの小欄で触れた高校野球の「5打席連続敬遠」をしのぐ論争に発展するかもしれない。何せ国内外での百家争鳴である。思うに、あの10分間の戦い方は、W杯という世界最高の舞台だからこそ起きた。もっとも、正しいか否かの答えなどない

 西野監督は次戦を「非常にやりがいのあるチャレンジ」と言う。論争はさて置いて、ここは監督の言葉を信じよう。初の8強を目指す代表に一丸のエールを送りたい。