本格的な与野党論議もないまま法案だけが次々と通り、疑惑の解明は全く進まない。国民不在の、そんな国会運営は断じて許されない。

 安倍政権が最重要課題としていた働き方改革関連法案がきのう、成立した。

 与党は、今国会の会期を7月22日まで32日間延長した。十分な時間が確保されたことで徹底審議が期待されたが、論議は深まらず、結局野党の反発を押し切った形だ。

 この法案で本当に労働者を守ることができるのか。課題が多く、不安が拭えない。私たちの生活にも直結するだけに、残念である。

 それにしても、安倍晋三首相の強気な姿勢が目につく。各種世論調査で、内閣支持率が回復傾向にあることも関係しているのだろう。

 反対が根強いカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案などの成立も急ぐ一方、学校法人「森友学園」や「加計(かけ)学園」問題では幕引きを図る構えのようだ。

 働き方法案を巡っては、柱の一つである高度プロフェッショナル(高プロ)の導入に対し「過労死につながる」などと指摘されてきた。

 しかし、政府は「多様で柔軟な働き方」といった抽象的な答弁を繰り返すばかりだった。最後まで説得力のある説明はなかった。

 IR法案の審議も同様だ。カジノ解禁への国民の理解が深まったとはいえず、ギャンブル依存症対策も不十分なままだ。改めて慎重な審議を求めたい。

 今国会で2回目となった27日の党首討論も、期待外れに終わった。

 野党は公文書改ざんや虚偽答弁により民主主義の根幹が揺らいでいるとして、安倍首相の政治姿勢を追及した。

 応戦した首相は討論の在り方に疑義を呈し、「党首討論の歴史的使命は終わった」とまで言い放った。

 確かに、45分間で5人の党首が質問する現状の制度では、白熱した議論など望むべくもない。しかし、そうであるなら運用面で抜本的に見直す努力が必要ではないか。

 現状の国会の在り方に、自民党内からも疑問の声が出ている。若手有志が国会改革に関する提言をまとめたのだ。

森友、加計問題を踏まえ、行政を巡る疑惑解明に向けた「特別調査会」の設置や、党首討論を2週間に1回、夜開くことなどを提案している。

実現に向け、党内に検討機関の設置を求めているが、国会の問題である。超党派で早急に対応してほしい。

与党は森友、加計問題で野党が要求する証人喚問などに応じる気配をみせておらず、疑惑解明にも消極的だ。

内閣の支持率が回復傾向にあるとはいえ、国民の中に重要法案に対する不安や、疑惑解明を求める意見が多いことを忘れてもらっては困る。

政権与党は、いま一度国民の声と真摯(しんし)に向き合い、謙虚な姿勢で審議に臨んでもらいたい。