徳島市の阿波踊り(8月12~15日)を主催する「阿波おどり実行委員会」は29日、有料演舞場のフィナーレに計画していた複数の有名連による踊り込みについて、出演スケジュールを全面的に見直すことを決めた。記者会見した遠藤彰良市長によると、阿波おどり振興協会所属の有名連から「午後10時以降の出演に協力できない」との連絡があったため。この結果、チケットが売り出される7月1日までに、各連の出演場所や時間が公表できない異例の事態となった。
実行委はチケット販売率向上を目指し、踊り期間中の毎日午後10時から30分間、有料演舞場(市役所前、藍場浜、紺屋町、南内町)に有名連5、6連が連続して踊り込む演出を計画。29日に有名連の出演場所や時間を公表する予定だった。
市によると、各連に既に通知していた出演時間について27日に意向を確認したところ、振興協会所属14連のうち13連から「午後10時以降は協力できない」と回答があった。
このため実行委は、振興協会の所属連が演舞場でのフィナーレ踊り込みに参加するのは困難と判断。1部(午後6~8時)、2部(午後8時半~10時半)の有名連の出演時間帯を含め、スケジュールを全面的に見直すことにした。踊り込みは主に、県阿波踊り協会の所属連などで対応する見通し。
遠藤市長は「チケット発売日に間に合わなかったことは大変遺憾であり、残念。熱心なファンには失礼なことだと思う。できるだけ早く発表したい」と話した。演舞場への踊り込みや前夜祭(11日)、選抜阿波踊り(12~15日)については各連と直接、出演契約を結ぶ考えを示した。
振興協会が午後10時以降の出演を拒んだのは、これまで南内町演舞場で続けてきた総踊りに代わり、別の場所での総踊りを検討しているためとみられる。遠藤市長は総踊りについて「(交通規制区域の中では)けが人が出るリスクもあり、現実的に踊る場所はないのではないかと思う」との見方を示した。
振興協会の朝日榮作会長は「総踊りは何十年もかけてつくり上げてきたもので、県内外に多くのファンがいる。引き続き、独自に行う総踊りの場所や方法を検討したい」とコメント。県協会の岡秀昭副会長は「演舞場を訪れる客の半分以上がリピーターで、特定の踊り連を見たくて来県するファンも多い。早く見直し作業を進めて、一日といわず一時間でも早くスケジュールを発表してほしい」と話した。