16日に宮城、福島両県で震度6強を観測した地震をはじめ、阪神大震災や熊本地震は多くの人が自宅で過ごす夜間に発生した。被害情報の把握が難しい夜間に大地震が起これば、どう対処すればいいのか。徳島大の中野晋特命教授(地域防災学)に注意点や備えについて聞いた。
―夜間発生時にするべきことは。
まず第一に挙げられるのは、地震規模や震源の把握だ。就寝時などは特に「自分は大丈夫」「今避難する方が危険なんじゃないか」との心理が働きやすい。自分が住む地域の被害情報も入手しづらいため、夜間は適切な避難行動に結び付けられない恐れが高まる。南海トラフ巨大地震の被害想定でも深夜に発生するケースが最も死者が多くなる。
発災時にどう動くべきかは個々に委ねられる。いざという時に正常な判断ができるようになるためにも、地震が発生した場合に日頃から震源や地震規模を確かめる習慣を身に付け、津波のリスクがあるかどうかや、どこに逃げればいいかを事前に知っておく必要がある。
―関東では大規模停電が問題となった。
地震に停電はつきもので対策は重要だ。揺れで家具が倒れたり、窓が割れたりすると、ガラス片が室内に散らばり、歩くのも困難な状況となる。停電時はさらにその危険性が増す。
寝室やリビングの家具を固定しておくのはもとより、蓄電池が備わったライトを階段などのコンセントに接続しておき、緊急時の明かりを確保できるようにしてほしい。情報収集や安否確認のほか、明かりにも利用できるスマートフォンは充電を欠かさず、モバイルバッテリーも用意しておけばなお良い。
―今回の地震の教訓は。
昼間、夜間を問わず、地震への対策は平時にどれだけ準備できるかにかかっている。この機会に防災情報アプリをダウンロードしたり、非常用持ち出し袋を用意したりするなど、備えを進めてほしい。