毎度の事ながら、詳しい仕組みは分からないが、イオンエンジンとは大したものらしい。将来の宇宙探査の主力技術とされる

 それに導かれて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機はやぶさ2が、目的地の小惑星「りゅうぐう」に到着した。3億キロのかなたへ往路3年半。地球を回って加速したりもして、航行距離は32億キロに達する

 10万キロ程度で愛車を買い換えたいと言おうものなら、家族にぴしゃりとやられそうである。「はやぶさ2に見習えば~」。トラブルを乗り越えて地球に帰還し、映画にもなった初代はやぶさから、イオンエンジンも格段の進歩を遂げた

 ところで、なぜそんな遠くまで? 太陽系の惑星はおよそ46億年前、小さな天体が合体してできた。どろどろに溶けるほどの高温で元の物質は変質してしまったけれど、質量の小さな小惑星はさほど変わっていない。調べれば、太陽系誕生時の様子が分かるのでは、というわけだ

 はやぶさ2が到達した46億年の缶詰には、水や有機物を含んだ岩石も多くあるとみられている。生命の起源の手掛かりも探る壮大な旅である

 <名もしれぬちひさき星をたづねゆきて住まばやと思ふ夜半もありけり>落合直文。遠く地球では、そんな夜もあって、これ人生。命を訪ねて3億キロ。生命とは、かくも深遠なもののようである。