無投票だった2015年12月の徳島県神山町議選(定数10)を巡る金銭授受疑惑で、徳島県警捜査2課と徳島名西署は2日、公選法違反(買収)の疑いで、町議会議長の細井成富(しげとみ)容疑者(73)=同町阿野=ら町議4人と、元町議の無職山本充良容疑者(77)=同町鬼籠野=を逮捕した。県警は「捜査に支障がある」として、認否は明らかにしていない。

 他に逮捕されたのは、副議長の中西富士男容疑者(61)=同町鬼籠野=と、いずれも町議の高橋和男容疑者(67)=同町神領、相原浩志容疑者(72)=同町阿野。

 4町議とともに刑事告発されていた樫本雄一町議(69)=同町下分=は健康面で勾留に耐えられないと判断し、任意で捜査を進める。

 逮捕容疑は、15年12月15日告示の町議選を巡り、細井容疑者らは共謀。同月下旬、町議選への立候補を取りやめた報酬として山本容疑者に現金50万円を渡したとしている。山本容疑者は、報酬と知りながら現金を受け取ったとしている。

 徳島県警によると、町議選の直後に多額の現金がやりとりされていたことなどから、買収目的の疑いが強いと判断した。買収は、定数が前回(11年)より2減となった町議選を無投票にするためだったとみている。

 山本容疑者は逮捕前から徳島新聞などの取材に対し、「現金は不出馬の見返りだった」と認めていた。高橋容疑者から封筒を渡され、中には5町議の名前が1人ずつ記された10万円入りの小さい封筒が五つ入っていたという。

 一方、5町議は今年1月、町議会全員協議会に提出した報告書で金銭授受があったと認めたものの「(先輩である)山本元町議に対する慰労目的だった」と弁明し、買収目的を否定していた。

 県警は2日朝、各容疑者をそれぞれの自宅から任意同行した。町議会事務局や各容疑者の自宅など7カ所を家宅捜索し、携帯電話やパソコン、ノート類など約300点を押収した。