徳島県内24市町村のうち7町が、災害時にペットの受け入れが可能な避難所を設けていないことが徳島地方自治研究所の調査で分かった。また、受け入れ可能な避難所がある17市町村のうち15市町村は、避難所の場所を公表していない。環境省はペットとの同行避難を推進しているものの、対応が追い付いてない実態が浮き彫りになった。避難所でのペットを巡る混乱は、14日で「前震」の発生から6年を迎えた熊本地震や東日本大震災でも生じており、南海トラフ巨大地震を見据えた対応が求められる。
研究所が24市町村を対象に昨年6月1日時点の状況について調査。全市町村から回答を得て、今年3月に結果をまとめた。
ペットの受け入れが可能な避難所が「ない」と答えたのは7町=表参照。上勝町は「十分なスペースがない」、勝浦町は「候補地を検討している段階」などと説明している。
受け入れが可能な避難所が「ある」とした17市町村のうち、場所を「公表している」と回答したのは徳島市と藍住町のみで、他の15市町村は「公表していない」とした。非公表の理由については「避難所になっている施設の管理者と調整できていない」(小松島市)、「ペットの受け入れ準備が整っていない」(石井町)、「全避難所について受け入れ可能かどうかを確認している途中。現時点で公開すると、可能な避難所にペット連れの避難者が集中する」(美馬市)などと説明した。
盲導犬や介助犬など補助犬の飼育者を把握しているのは徳島、小松島、三好、佐那河内、那賀の5市町村にとどまった。また、ケージやペットフードなどペット用品を備蓄しているのは美波町だけだった。
2011年の東日本大震災では自宅に取り残されたり、飼い主とはぐれたりするペットが多数いたほか、熊本地震でも避難所に連れてこられたペットの扱いに苦慮する事例があった。国は13年、ペットとの同行避難を推奨するガイドラインを策定している。
徳島地方自治研究所の南礼子事務局長の話
「国は同行避難を推進しているが、多くの市町村では対応が追い付いていない。小規模な自治体では総務課が防災業務を担っているため、人手が不足していることもある。受け入れができる避難所を『公表している』と回答した自治体も分かりやすく住民に伝えられているか。広報の仕方に改善の余地はある。飼い主も普段から地域の自主防災組織の集まりに参加し、意見や希望を伝えてほしい。動物病院やペットショップでも飼い主向けの啓発ができるといい」
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