選抜阿波踊り大会前夜祭のフィナーレ=2017年8月11日、アスティとくしま

 徳島市の阿波踊りを主催する「阿波おどり実行委員会」(委員長・遠藤彰良市長)は4日、8月11日に同市のアスティとくしまで行う恒例の前夜祭について、昨年まで県阿波踊り協会と共に出演していた「阿波おどり振興協会」への出演依頼をしないと決めた。振興協会から、有料演舞場のフィナーレへの出演に協力できない旨の回答があったことを踏まえ、依頼しても断られる可能性があると判断した。

 実行委は四つの有料演舞場のチケット販売率向上に向け、振興協会が南内町演舞場で行っていた「総踊り」をやめ、全有料演舞場で複数の有名連が踊り込むフィナーレを計画した。

 しかし、チケット発売が迫った6月27日、振興協会の13連に意向を確認すると「午後10時以降は協力できない」との回答があり、発売日の今月1日までに演舞場の出演スケジュールが決まらない事態となった。

 4日開かれた実行委の会合では、委員から「前夜祭でも(振興協会に)ドタキャンされるリスクがあるのでは」との声が上がったため、今年は出演を依頼しないことを満場一致で決めた。振興協会から出演の申し出があれば検討する。

 会合後に会見した市長は「リスクを取り払い、安定した運営を優先した結果。振興協会の踊り子には今年は辛抱してほしい。前夜祭の出演連は未定だが、観客に満足してもらえるようなパフォーマンスを考える」と語った。

 これに対し振興協会の朝日榮作会長は「何十年もやってきたのになぜわれわれを外すのか理解できない。ドタキャンするから前夜祭を外す、というやり方はおかしい」と話した。5日夜、臨時の連長会を開いて今後の対応を協議するという。

 前夜祭は県協会と振興協会がそれぞれのステージで独自の演出や構成を披露する人気イベント。昨年は3回の公演に8千人以上が来場した。

 

 阿波踊りの主要団体  有名連が所属する主な団体には「徳島県阿波踊り協会」「阿波おどり振興協会」がある。県協会は県内各地に支部があり、徳島市支部には娯茶平、殿様連など17連が参加。振興協会は阿呆連、のんき連など徳島市内の14連が所属している。振興協会からは5月、ゑびす連、うずき連が脱退した。ほかに、徳島藩主の菩提寺・興源寺(同市下助任町)で奉納踊りを行う「徳島県阿波おどり保存協会」があり、よしこの連など6連が活動している。