阿南共栄病院(阿南市羽ノ浦町)は、県南の糖尿病治療の拠点として「阿南地域糖尿病センター(仮称)」を11月1日に開設する。県内で糖尿病に特化した医療拠点は徳島大学病院に次いで2カ所目。徳島大医学部が専門医を派遣するとともに、阿南市が研究費などの財政支援をし、高度な治療を行い、予防・啓発活動などにも取り組む。
 
 センターは、徳島大から派遣される専門医3人と、専門知識を持つ共栄病院の看護師や栄養士らで構成。院内に設置する。
 
 現在、共栄病院には糖尿病専門医が常勤で1人おり、外来診療と入院治療を行っているが、専門医の外来診療は週2日程度にとどまっている。センター設置後は、糖尿病患者専用の診察室をつくり、常に専門医による診察を受けられるようにする。
 
 合併症の重症患者の受け入れを増やし、院内の眼科(網膜症)や皮膚科(足病変)、外科(透析)と連携して包括的な診療を行う。
 
 このほか、糖尿病治療の研究や専門医の育成、大規模災害発生時の患者支援対策マニュアルの作成も行う。予防・啓発にも力を入れ、市民講座や患者のための調理実習なども定期的に開いていくことにしている。
 
 共栄病院は、糖尿病センターを、阿南医師会中央病院(同市宝田町)と統合し2018年に開院する予定の「阿南中央医療センター(仮称)」の主要機能に位置付ける方針。徳島大からの医師派遣は19年度までの予定で、それまでに独自のスタッフやマニュアルなどを整え、20年度以降は中央医療センターが単独で運営していく。
 
 共栄病院の東博之院長は「県南の糖尿病治療をより充実したものにし、地域住民に貢献できるようにしていきたい」と話している。
 
 厚生労働省の人口動態統計によると、徳島県の糖尿病死亡率は1993年以降、2007年を除いて全国最悪だった。14年に再び全国最悪を脱したものの10万人当たり死亡率は14・9人で、全国平均10・9人を大きく上回っている。