戦後70年をテーマに意見を交わす寂聴さん(左)と山田監督=アスティとくしま

戦後70年をテーマに意見を交わす寂聴さん(左)と山田監督=アスティとくしま

 戦後70年特別シンポジウム「ともに歩む これからを生きる」(徳島新聞社主催)が3日、徳島市のアスティとくしまであり、徳島市出身の作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんと、映画監督の山田洋次さんが対談した。寂聴さんは「戦争はすべて悪い。たくさん人を殺して褒められるなんてそんなおかしな話はない」と語り、あらためて反戦を訴えた。
 
 シンポジウムは「あの戦争を語る」と「あなたへのメッセージ」の2部構成。岡本光雄徳島新聞社編集局次長が進行役を務めた。
 
 寂聴さんは「殺すなかれ殺させるなかれ」という釈迦の言葉を紹介し、「子ども心にあの戦争はいい戦争だ、聖戦なんだと何度も教わった。だけど戦争にいい戦争なんてない」と呼び掛けた。
 
 6月、国会前で開かれた安全保障関連法案に反対する市民集会に参加したことにも触れ「病気がまだ完全に治っていなかったけど、大変なことが起きているのにじっとしてはいられなかった」と思いを吐露した。
 
 山田監督は被爆、終戦から3年後の長崎を舞台にした新作「母と暮せば」(12月公開予定)に関連し、戦争を語り継ぐ意義を強調。「多くの被爆体験を読んだり、聞いたりしたが、俳優・歌手の美輪明宏さんの体験談はリアリティーがあって生々しい。自分の仕事を思い起こし、表現者の使命をあらためて考えた」と話した。
 
 シンポジウムは滴翠クラブ9月拡大例会としても開かれ、約3300人が参加した。