熱気あふれる踊りを間近で楽しむ大勢の観客=徳島市の徳島中央公園

 「久しぶりに阿波踊りを堪能できた」「心浮き立つこの喧噪が踊りの醍醐味」―。「阿波おどり春の祭典 紡ぐ」(徳島新聞社主催)が徳島市の徳島中央公園で初めて開催された1日、踊り手にも観客にも笑顔の輪が広がった。長引く新型コロナウイルスの影響で停滞ムードが漂う日常に、踊り絵巻のにぎわいが戻ってきた。

 バラ園前の人工池に設置された水上舞台では、各踊り連が多彩なパフォーマンスで観客を魅了した。ドイツ人留学生のブルーノ・ヴァルヴァスさん(16)は「とてもきれい。連によって踊りが変わるのは面白い」。家族6人と来た池田久仁子さん(61)=堺市=は「踊りを見たくてうずうずしていた」と喜んだ。

 鷲の門広場の輪踊りでは、観客が飛び入り参加した。各踊り連の公演ごとに「皆さんも一緒にどうぞ」とアナウンス。踊りに加わった岩浅哲明さん(81)=松茂町広島=は「にぎやかなぞめきを聞いたら自然と体が動く」と明るく笑う。会場の一角でも出番を待つ踊り手が乱舞し、家族連れらを次々と招いた。本家大名連の清水理連長(74)は「お客さんとの距離が近く、垣根がない。これぞ本来の阿波踊りの姿だ」と声を弾ませた。

 イベントでは感染対策にも気を配り、踊り手はマスクやフェースシールドを着用した。「マスクをしながらでも、踊れる喜びの方が大きい。こうしたイベントがあればモチベーションが上がります」。平和連の市村佑太さん(27)は充実感いっぱいに語る。

 県外連は久しぶりの徳島での演舞に心を躍らせた。兵庫県から参加した「はりまめちゃ楽連」の猪井良幸連長(79)=吉野川市出身=は「本場で踊るのが一番楽しい」と満足そう。

 フィナーレでは観客も「踊る阿呆」に加わり、お花見広場は踊り一色に。酔狂連の戸田菜摘さん(22)は「コロナ下でもたくさん見に来てくれてうれしい。一緒に楽しめてよかった」。北島中学校2年の三木梨楓さん(13)と中田杏珠さん(13)は「元気をもらった」と口をそろえた。

 踊りを見ながら食を楽しんでもらおうと、会場にはキッチンカー15台が出店。家族連れらが特色のある料理やスイーツを味わった。イベント後は、日本たばこ産業(JT)の協力で踊り手や観客が清掃活動にも取り組んだ。