七夕といえば仙台を思い浮かべるが、繊維の町として知られる愛知県一宮市の七夕も盛大だという。「おりもの感謝祭」と銘打ち、今年で63回目。26日に始まる
1000本以上の吹き流しで彩られる、その七夕祭りに「甚平を着て行きたい」。県立一宮特別支援学校中学部に通う生徒はこう願った。手足が動きにくく、車いすで大半を過ごす。夏場はあせもができることも多い
おしゃれで快適な甚平を作ろう。県尾張繊維技術センターと一宮地場産業ファッションデザインセンター、業界団体、地元業者などが知恵を巡らす。接触冷感や通気性に富んだ生地を使って、袖下と脇下がスナップボタンで留められ、開閉できる新たな甚平が仕上がった
車いすなどを使う生活に合った衣服を―。そんな生徒の夢をかなえる取り組みが始まり、11年目に入る。これまでにスーツ、レインコート、浴衣...が生まれた。家庭科を教える山口美香教諭は話す。「糸から作られるので吸汗や抗菌、ストレッチ性など技術の粋を集めた、一宮ならではの衣服ができる」
クッションなどの小物も、職員や保護者らの手で作られている。「こんな服を着て、こんな場所へ行きたい」。子どもたちの思いに、どこまでも向き合う
ササの葉に結ばれた短冊が風に揺れている。一つ一つの願い事がかなうように。あすは七夕。