「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選ばれた鳴門市文化会館(左)と旧勤労青少年ホーム、旧老人福祉センター(右側)=鳴門市撫養町

 モダニズム建築の記録・保存を行う国際学術組織DOCOMOMO(ドコモモ)の日本支部(代表・松隈洋京都工芸繊維大教授)は5日までに、「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に鳴門市撫養町の市文化会館と旧勤労青少年ホーム、旧老人福祉センターの3棟を含む全国の計8件を新たに選定した。徳島県内では過去に鳴門市民会館と鳴門市役所本庁舎が選ばれており、今回の3棟を合わせると県内の選定物件は計5棟になる。

 鳴門市文化会館(82年完成)と旧勤労青少年ホーム(75年)、旧老人福祉センター(77年)の3棟は、市民会館や市役所本庁舎と同じく、元京都大教授で建築家でもあった増田友也氏(1914~81年)が設計した。

 撫養川に面して立つ3棟の施設群は、軒高をそろえ、縦のルーバーを連立させることで都市的秩序を形成し、施設群に挟まれた舗道は都市の広場として機能していることなどが評価された。

 増田氏の遺作となった文化会館は過去にもドコモモ選定建築に推されたことがあり、当時は80年代の建築が年代不適合として選定対象から外されたが、近年の要件緩和に伴い、今回選ばれた。旧勤労青少年ホームと旧老人福祉センターは、17年4月から市健康福祉交流センターという名称に変わっている。

 選定は、歴史的・文化的価値の高い近代建築を社会的資産として見直し、保存につなげるのが狙い。ドコモモ日本支部と日本建築学会が中心となって99年から選んでおり、今回で216件になった。

 鳴門市の3棟のほかに選ばれたのは、横浜市庁舎(59年、村野藤吾)、埼玉会館(66年、前川國男)など。