鳴門市のボートレース(競艇)事業を巡り、市が競艇場周辺の鳴門町、新鳴門の両漁協に支払った「協力費」の適否が争われた住民訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は5日までに、双方の主張を聴く弁論を9月25日に開くと決めた。最高裁は通常、結論を変更する場合に弁論を開くため、市の敗訴とした一、二審判決が見直される可能性がある。
一、二審判決によると、市は1950年代から「公有水面使用協力費」などの名目で漁協に支出。住民は、2013年の計860万円は法的根拠のない支出で、違法として提訴した。
市は漁業補償としての意義があると主張したが、15年12月の一審徳島地裁は「高額な協力金を長期間支出する合理性、必要性はない」と指摘し、860万円を漁協に返還請求するよう市に命じた。昨年1月の二審高松高裁も支持した。市は昨年2月に最高裁に上告していた。
漁協への協力費を巡っては、11、12両年度に市が支出した計1900万円の返還請求などを14年1月に地裁が命じ、これを不服とする市側の上告を最高裁が16年2月に棄却。地裁判決が確定した。これに対し、市議会は漁協などに対する請求権を放棄する市提出議案を、同年4月の臨時議会で可決した。