国土交通省四国地方整備局が吉野川の早明浦ダム(高知県)の治水・利水対策に関し、四国4県と協議を再開することについて、徳島県の飯泉嘉門知事は7日の定例会見で「吉野川水系には無堤地域があり内水被害も多い。治水はまだまだだ」と強調した。その上で協議の課題として、ダム改造で県内の吉野川水系の治水がきちんとなされるかや国の直轄事業に対する他の3県の負担金はどうなるかなどを挙げた。

 知事は、早明浦ダムの水が利水面では四国4県で使われている一方、洪水被害を受けるのはほとんどが徳島県であるとして「徳島の犠牲のもとに利水が成り立っていることは忘れないでほしい」と指摘。「徳島が納得できる形で、4県で未来を切り開くことができれば」と述べた。

 また、1966年に愛媛県への分水を決めた際、渇水時に銅山川のダムから吉野川本川に放流するとした約束が一度も守られていないと説明。「新たな約束事を決める前提として、過去の約束が守られていないならば、今回の機会にちゃんと行ってもらえないと先に進むことはできない」との認識を示した。

 徳島県に分配されている工業用水のうち、未利用の約6トンの一部を国と香川県に売却する場合の金額については「ベースになる治水にどれくらいお金がかかるか。こうした中から最終的にはじき出される」とし、具体的な数字は挙げなかった。