3月以降、近畿地方を含む全国各地で震度4以上の地震が相次いでいる。不安になっている人も多いかもしれない。専門家は「南海トラフ巨大地震とは直接、関連しない」としながらも、「数十年というスケールで見ると地震の活動期に入っている」とみて備えを呼び掛けている。
気象庁のまとめによると、最大震度4以上を観測した地震は1月に2回、2月に1回だったが、3月には11回、4月には8回発生している。
◆ 近畿地方では
近畿地方では京都で3月31日、5月2日、和歌山で4月6日に最大震度4の地震を観測した。
徳島大大学院の馬場俊孝教授(津波防災学)は、これらを「直接、南海トラフ巨大地震と関連するものではない」とする。一方で、「数カ月ではなく数十年というスケールで見ると、南海トラフ巨大地震の発生に近づきつつあるのは確かだ」と指摘する。
南海トラフ巨大地震のようなプレート境界型の巨大地震の場合、発生前に震源地の周辺部が地震が少ない「静穏期」から、地震が増える「活動期」に入ると考えられている。
西南日本では1995年の阪神大震災を引き起こした兵庫県南部地震(マグニチュード7・3)以降、2000年の鳥取県西部地震(同7・3)、2001年の芸予地震(同6・4)、2018年の大阪府北部地震(同6・1)と、地震が相次いでいる。阪神大震災以降、活動期に入ったのではないかと指摘されている。
◆東北地方では
東北地方の地震も目立つ。福島県沖では3月16日に最大震度6強を観測するなど、最大震度4以上の地震が3月以降6回起きている。岩手県沖では3月18日に最大震度5強、同30日に最大震度4が観測された。馬場教授はこれらを「2011年の東日本大震災に伴う地震」との見方を示す。
馬場教授は「南海トラフ巨大地震を含めて被害を伴う地震はいつ起きてもおかしくない状況。日頃から防災対策を心掛けてほしい」と呼び掛けている。
◇
馬場教授はどんな地震の備えをしているのだろう。研究室の本棚は壁に固定して、揺れても本が飛び出さないようバンドを張り巡らせていた。研究室の隅にはペットボトルに入ったミネラルウォーターの箱も。「普段、この水を飲んでいます。ローリングストックですね」。いつ地震が起きるか分からないので、水筒やカロリーメイトもかばんに入れて持ち歩いているそうだ。
自宅では倒れても危険でない場所に本棚などの家具を置き、テレビは粘着テープで倒れないようにしている。私たちも、いざというときに備えておきたい。